家族支援専門看護師 栗田智美
近隣の大学が主催している家族看護研究会では、事例検討や勉強会が行われています。患者さんがどの世代でも、どのような疾患でも、療養場所がどこであっても、ご家族は看護の対象です。この研究会では、「家族」を理解するための知識や方略を幅広く学ぶことができます。
今回、「家族看護エンパワーメントモデル」を用いた事例検討会で、ファシリテーターを担わせていただきました。患者さんやご家族が置かれている状況が厳しくても、そばにいる看護師が、元々、ご家族がもっている力や強みに目を向け、検討の場をもつことで、色々な見方や意見が集約され、突破口がみえてきます。従来のケア介入では立ち行かない場合、新たなケアを創り、チャレンジする姿勢が求められることを強く感じました。
Zoomでの参加者もいる形での進行を初めて行いましたが、拙い部分が随所にあり、参加者の方々に助けていただきました。ありがとうございました。
摂食嚥下障害看護認定看護師 加藤 久美子
去る10月3日、ラダーⅡ以上の職員を対象に専門看護師・認定看護師が「トータルケア研修」という研修を行いました。その中の1コマを担当し、上記をテーマにとろみについて講義や演習を実施しました。
当院ではとろみの使用者が多く日常的に使用していますが、職員自身が体験する機会はあまりありません。そこで、改めてとろみについて見直すきっかけになればいいなと考え、研修を企画しました。
研修ではラインスプレッドテスト(とろみのついた溶液が一定時間に広がる距離をみることによってとろみの程度を数値化する方法)を行い、当院のとろみの分類が合っているか確認を行いました。中間のとろみは若干の違いが出ましたが、薄いとろみと濃いとろみに関しては誤差がないことが確認できました。またダマを作り、それも判定しましたが中間のとろみが薄いとろみより値が大きくなりました。
受講者からは「少しぐらいのダマは大丈夫かと思っていたけど、こうして数値で確認すると誤差が大きいのが分かり、きちんと規準通りにとろみを作ろうと思いました」との感想がありました。
さらにペットボトルのお茶3種類にとろみをつけ、飲み比べを行いました。同じ緑茶でもとろみがあると味に違いが出て、飲みやすい、飲みにくいお茶が分かりました。「とろみ自体がおいしくない。患者さんは毎日飲んでいるため、辛さが分かった」と発言する受講者もいました。
毎日使用するとろみだからこそ、安全に患者さまに提供できるように研修の学びを活かしてくれることを期待しています。
※スタッフには写真公開の同意と許可を事前に得ております
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 岩川彰子
6年間 地域連携室に所属し、院内外の多職種連携を推進する役割を担い、入院審査や調整、退院支援に取り組んできました。その中で、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の強みを活かし、急性期病院の医師や看護師から、直接電話相談を受け転院調整をする『看看連携』の強化をしてきました。さらに、難渋する疾患や治療過程が複雑な方のリハビリ適応や療養先の選定に悩まれるケースでは、急性期病院へ訪問し、患者さま・ご家族との合同面談に参加する取り組みにも力を入れてきました。
そして今年4月から現場復帰しました。回復期リハビリテーション病棟では、多くのセラピストが配置され、医師やMSW、在宅支援チームとの多職種連携が必須です。その中で、看護の果たす役割は多岐に渡りますが、患者さま・ご家族と医療者や在宅チームをつなぐ、調整役として期待されていると実感するケースがありました。
リハビリテーション看護とは、その人らしく生きることを支援し、お一人お一人の違いを考慮した個別的で専門性の高い援助です。そして、疾病や障害を持ちながらも、道具や方法を工夫して、できる限りの自立を目指します。そのためには、日々の変化に気づける観察力が重要です。1日を通して生活の中で『できる力』に着目し、少しでも一つでも『できた』を実感できる看護を提供したいと考えています。そして、新しい生活にチャレンジする勇気を持てるように、患者さまの『できる』を信じて、共に歩む看護師でありたいと思います。