スタッフコラム
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新型コロナウイルスが認知症患者の「食べる」ことに及ぼす影響について

2021.10.06

摂食嚥下認定看護師 加藤久美子

 2020年度、回復期病棟の経口回復率は52.1%で、2019年度の63.3%より低下しました。嚥下障害の重症割合が34%から41%と増えたことも要因と考えられます。しかし、嚥下障害の軽症例だけをみると経口回復率が80%から65%に低下したことを不思議に感じました。3食経口摂取に至らなかった主な理由は「食べない」ことでした。経口では十分なカロリーや水分が摂取できず、代替栄養を行ったまま退院に至っていました。

 「なぜ食べないか」は主に認知症の患者さまが食べることを拒否していることでした。今までも認知症の患者さまの嚥下障害へのアプローチを行ってきています。それなのに「なぜ食べないか」を考えてみると、新型コロナウイルスが影響しているのではないかと思いました。

 コロナ禍になり、面会禁止となったことで、家族が食事場面に付き添ったり、患者さまの好きな食べ物を持ってきてくれたりしていたことがほとんど無くなりました。認知症の患者さまは環境の変化による影響を受けやすく、家族などの顔馴染みの関係にある方がいることで安心します。不安なまま病院生活を送っていたことが「食べる」ことに影響を及ぼしていたと推察しました。今更ながら家族の力は大きいことを実感しました。またソーシャルディスタンスを保ち、アクリル板を使用して黙食をしている環境も認知症の患者さまには理解しがたいことだと思いました。

 現在も面会禁止が継続しています。家族には変われないけれど、職員が顔馴染みの関係性を作り、「食べる」ことへの手助けになればいいなという思いと早くコロナが収束して楽しく食べられる環境になるといいなと願っています。

楽しく食べられる環境

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