障がい者・難病リハビリ病棟の取り組みをお伝えします
障がい者・難病リハビリ病棟では、重度の障がい者や、進行期の難病、特に神経難病の患者さまに、医療・看護・介護・リハビリテーションを通して、多職種で、その人らしく生きるためのお手伝いをしています。在宅療養中の方には在宅サポート入院(レスパイト入院)をご利用いただいております。
認知症と「記憶」 第3診療部 中島 雅士
認知症の病名を告げられた時、その当人と家族はどのように受け止めるでしょうか。
認知症に関する報道やテレビ・ドラマは、その多くは患者が徐々に社会的に孤立していく悲観的な内容のものです。残念ながら、これは多くの患者と介護者にとっての現実です。現在、認知症の進行を防ぐ有効な治療法がなく、健康な暮らしを続けることができなくなるという通念によって、病的な物忘れの徴候が初めて明らかになった時、患者または介護者は不安にさいなまれるでしょう。
しかし、認知症患者は本当に残された人生を楽しく送ることはできないのでしょうか。「残された人生を楽しく送る」鍵は、代表的な認知症であるアルツハイマー型認知症で、最も早くから障害される「記憶」について理解することにあります。
認知症を患う方の記憶に関して最も重要な特徴は、新しい内容を覚えられない、ことにあります。あなたが認知症患者と接するときに、新しい情報を覚えるような要求をやめることで、患者とのコミュニケーション困難による多くの問題は解決します。
具体的には、
- 質問しない。
- 患者から認知症について学ぶ。
- 患者の話す内容に同意する。決して反論を述べない。
薬剤科の業務紹介
薬剤科では調剤業務・病棟業務・医薬品管理業務を中心として、薬が関わるものには全て薬剤師が関与することを目標に業務に取り組んでいます。
処方監査や薬剤管理指導業務(服薬指導)だけではなく、薬の血中濃度を解析すること(TDM)で適切な投与量を提案するなど、薬物治療を安全に提供できるよう積極的な業務を行っています。
当院では入院患者さまの薬は全て薬剤師が患者さま1人1人に合わせた形で調剤し、管理しています。
患者さまが持参された薬の管理について
今回は障がい者・難病リハビリ病棟へ入院される患者さまの薬の管理についてご説明します。
<薬をお預かり>
入院の際、現在内服している全ての薬を薬剤科でお預かりします。その際、アレルギーや副作用・薬の内服方法などを患者さま、ご家族さまに確認させていただきます。
薬剤師が直接お預かりすることで薬同士の飲み合わせを確認することができます。複数の病院からの重複している薬を発見することもあります。
患者さま、ご家族さまからいただいた情報をもとに持参された薬の調剤を行います。調剤終了後、薬剤師が患者さまの薬を薬剤カートにセットします。
<お預かりした薬を調剤>
薬剤科「医薬品としての栄養剤」
今回は当院で取り扱っている医薬品としての栄養剤についてご紹介します。医師が必要と判断した場合に処方される栄養剤で、食品としての栄養剤とは違い保険が適応されます。栄養剤によっては何種類か味があるものもあります。
エンシュア・リキッド
- 必要な栄養素がバランス良く含まれ、かつ脂肪分が十分に含まれた栄養剤です。
- 牛乳たん白アレルギーを有する方は、牛乳由来成分を含んでいるため服用できません。
- 缶に入っており飲みやすいです。経口・経管栄養どちらの方も摂取可能です。
病院から地域へ 医療ソーシャルワーカー
障がい者・難病リハビリ病棟では、リハビリ目的、在宅サポート入院(レスパイト入院)、長期療養目的で入院をされている方がいます。リハビリ、在宅サポート入院(レスパイト入院)目的で入院をされている方は一時的な入院であり、入院生活が終わると、住み慣れた地域での生活を再スタートされます。
地域での生活を開始する前に必要なことが、地域との連携です。在宅生活をする中で介護保険や障害福祉サービス等の社会資源サービスを利用する場合には、在宅関連機関(かかりつけ医師・ケアマネジャー・訪問看護・ホームヘルパー・福祉用具等)との連携がかかせません。
食べたい思いを叶える食事 ~ミキサー蕎麦の提供~
今回は、嚥下障害のある患者様の「食べたい思いを叶える食事」として、かき揚げ蕎麦を提供したお話をします。

患者様は飲み込みの機能に障害があり、きざみ食にとろみをつけた嚥下調整食(飲み込みやすい形に調整した食事)を召し上がっている方です。当初は蕎麦の種類を検討し、通常より長い時間ゆでることで麺を軟らかくして、とろみをつけた汁で提供しようと思いました。
しかし蕎麦はうどんや素麺など他の麺に比べ、水分過剰になると短く切れてしまいます。またデンプン質は、ミキサーにかけるとべたつき、嚥下調整食には向きません。悩んだ末に、ミキサー食レシピ集にある「ミキサー蕎麦」を作ろうと考えました。
重度訪問介護を利用した入院中の外出
2018年の4月より国の制度として、重度訪問介護を利用した入院中の外出が可能となりました。
当病棟でも、重度訪問介護を利用し、週に1度、近隣散策や公共交通機関を利用した外出、買い物などを楽しまれている方がいます。
今では「今度はみんなに会いに行きたい」「海を見に行きたい」など、少しずつ外出範囲が広がってきています。そのため、今後も患者様の社会参加が促せるよう支援していきたいと思います。
重度訪問介護を利用し外出(買物)
※患者様の同意を得て写真を掲載しています。