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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

障がい者・難病リハビリ病棟スタッフコラム

障がい者・難病リハビリ病棟】の最新情報や取り組みをお伝えしています。

ジュウマンブンノイチ ダメ親父のALS闘病記 2016(2)

2017.09.20

2016年 7月 すべてのことがリハビリ

おそらく発病から2年が経過したとみられる。2年前はバリバリと仕事をしていた人間の今現在はというと、見る、聞く、考えるといったことに変化はないが運動能力に関しては止まることなく進行し続けて自分で呼吸すること以外、人様の力をお借りしないと何一つまともなことが出来なくなってしまった。この辺で進行が止まってくれないと後は呼吸障害が始まってしまうのか。本当に厄介な病気だ。

ナースコール・ベッドリモコン・テレビリモコンの工夫
ナースコール・ベッドリモコン・テレビリモコンの工夫

今までPEG交換となると、かみさんが仕事を早出して早く帰ってきて予約時間ギリギリに病院に連れていく朝からイライラの一日がかりの一大イベントだったのだが、ここではたった2~3分の出来事だ。改めて在宅介護の大変さを思い出した。

リハビリに力を入れている病院だけあって驚かせられることが多い。今までリハビリと言えば主に身体機能の回復などのイメージであったが、患者の生活にかかわるすべてのことがリハビリの範疇のようである。簡単な装具や自助具は患者に合わせて自分たちで作ってしまう。自分が世話になっているから言うわけではないが、スタッフ一人一人ベテランから若手までが同じ目標に向かって仕事しているように見える。よほど社員教育が徹底されているのだろう。入院前に情報を得ていた電動装具ハルやコミュニケーションツール伝の心をリハビリメニューに入れてもらった。

リハビリメニュー

2016年 8月 自分が悪者になりなさい

実際にハルを体験した感想はというと、装着に少し時間がかかる。電極を体に張り付けたりと思ったより大変だ。体験するまでは歩けない人間が機械の力を借りて歩けるようになるイメージであったが実際は違った。家庭などで実用化するにはほど遠いような感じがした。でも久しぶりに歩いているような感触は味わえた。今まで文字盤を使って必要最低限の会話しかできなかったが、伝の心を使えるようになって今まで言えなかったことが伝わるようになり少し心のどこかに余裕ができたみたいだ。

かみさんと距離を置いて病院生活にも慣れてきて、ふと思うことがある。食事にトイレに移動など何をやるにも人手がかかるものだ。家ではかみさん一人でやっていたんだよな、自分の仕事、大きな子供二人の面倒、犬五匹の世話、そしておっさんの介護とやってくれてたんだなと思った。その時はもっと面倒見てくれよと思ったり、言われた通り週六日もディに通ってやったのに病院に入れやがってと恨んだこともあった。私だって頑張っているのにいつまでも悲劇の主人公になっているんじゃないと言われたこともあった。発病から二年間本当によくやってくれたと思う。今は感謝している。

仕事ばかりで周りの週休二日のお父様に比べたら子育ても大変だったに違いない。もう少しで子育ても終わり少しはのんびりできると思った矢先こんなことになって本当に申し訳ないと思う。また返せない借りを作ってしまったようだ。

セカンド・オピニオンをするつもりはないがC病院にこの病気のことを詳しいDrがいると聞いて、かみさんが色々なDrの話を聞いてみたいというので数カ月に一度通ってみました。そのDrがかみさんに言ったそうである。「自分が悪者になりなさい」と。最近その言葉の意味が分かったような気がした。

2016年 9月 伝の心を申請

目に見えての進行は落ち着いてきたような感じがする。しいて言えば最近左の腕が重く感じてしょうがない。嫌な鈍痛があり、筋肉がこわばってしまうことが多くなった。

今までは食欲の塊だったのだが、痛み止めの薬を飲むようになったせいなのか、病院食に飽きてしまったせいなのかわからないが、まるっきり食欲が無くなってきてしまった。

伝の心もだいぶ使いこなせるようになってきた。今まではリハビリの教材として病院のを借りて使っていたが、役所の助成を利用すると安く購入できるみたいなので早速申請することにした。

2016年 10月 1年ぶりのラーメン

この病院に入院していて1日が長いなーと思ったことがない。基本的に土日を除けばほぼ毎日リハビリやレクレーションなどがある。リハビリの一環として調理実習をすることが出来る。日頃の食事では食べられないようなものを作るのだが、私は嚥下障害が進んでいるため普通に作ってしまうと食べられないので、STさんや栄養士さんの力を借りて作るのである。もう食べることが出来ないと思っていたラーメンを一年ぶりに食べたときは感激した。

※1年ぶりのラーメン
1年ぶりのラーメン

以前通っていたディに全自動の麻雀卓があり、やりたいなと思っていたが通いだすと時間的制約があり幻で終わってしまった。この病院にも麻雀のゲームサークルがあるが、もう両手を動かすことが出来ない。でもスタッフさんに手伝ってもらいながらゲームをすることが出来る。自分でパイを触れない物足りなさはあるが、今では大切な気分転換の一つとなっている。

麻雀の風景
麻雀の風景

スタッフコラム 「リハビリテーションの紹介」

2016年 11月 ネットやメール

申請していた伝の心の助成が下りたので、ようやく自分専用の伝の心を手に入れることが出来た。もう誰にも気兼ねなく使えるようになり、ついでにネットやメールも出来るようになった。会話の手段が文字盤しかなかったころに比べれば、コミュニケーション能力は格段に向上した。もうキーボードを打つことは出来ないので、パソコンに繋げたタッチスイッチをかすかに動く右手の人差し指の第二関節あたりで触れることによって操作出来るようになっている。

この病気のせいなのかよく分からないが、最近あくびをする回数が尋常ではない。一日100回は優に超えている。口を手で押さえることが出来ないので、人前で大あくびをするのもへっちゃらになってしまった。別に夜更かしをしているわけではないのだが。脳みそに酸素がいきわたっていないからあくびが出るという人がいますが、もしそうだとしたら呼吸がしっかり出来ていないのか。息苦しさとかは無いのだが。

ベッド上で伝の心を使用している様子
ベッド上で伝の心を使用している様子

2016年12月 経口摂取を続けている

普段どのようなものを食べているのかというと、お粥とおかずをつぶしたようなものを食べている。名目上は刻み食だが見た目はミキサー食と変わらない。飲み物にはすべてトロミが付いている。これでも相当気を付けて食べないとむせてしまう。本当だったら誤嚥性肺炎を回避するため経管栄養に切り替える頃なのだろうが、私本人の希望で経口摂取を続けている。

たまにはパンを食べてみたいと思うが、もう食べられない。パン粥や似せたパンはあるが、食べたいパンとは違うのである。クリスマスや特別な日にケーキやお刺身が出ることがあるが、私の前のお膳に並ぶことはない。決まってプリンやネギトロが並ぶ。もはや噛みごたえや食感、のど越しなどを味わうことは出来ない。

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