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患者さんご家族に寄り添った治療とリハビリテーションを 副部長 由比 瑞穂
2021年4月から鶴巻温泉病院の障がい者・難病リハビリ病棟に赴任しました由比 瑞穂と申します。私は、東海大学病院神経内科の医局に入局後、近隣の急性期病院と慢性期病院など様々な病院で勤務させていただきました。
現在、当院障がい者・難病リハビリ病棟で多くみているパーキンソン病などの神経難病の方の初期診断も外来でみさせていただいてきましたが、薬の調整とあわせてリハビリテーションを初期から導入し環境を調整していくことの重要性をひしひしと感じています。
しかし外来診療では詳細な診察や本人とご家族に病気のことや今後の方針についてじっくりとお話しすることが難しいのが現実です。
当院障がい者・難病リハビリ病棟では神経難病の方のご家族の介護休暇目的入院やリハビリテーション入院、長期療養が可能ですので、神経難病の患者さんが抱える問題点を神経内科医として総合的に判断しリハビリテーションを進めていきたいと思っております。
神経難病は動けなくなってくる方がほとんどですが、在宅介護できるか長期療養場所を探していくかの最大のポイントが食べることです。具体的には嚥下リハビリテーションをしながら食べることを最後まで大事にして、点滴治療で緩和ケアを希望するのか、胃瘻や経管栄養にて栄養は維持しながらお楽しみで食べることを続けるのかなど、まず本人とご家族に今後起こりうる病態をご説明し、理解いただいた上で方針をたてていきます。
当院は医師のみでなく看護スタッフ、介護スタッフ、リハビリテーションスタッフ、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーが一丸となってチーム医療を提供させていただいております。神経難病という不安を抱える患者さんや家族に寄り添った治療とリハビリテーションを提供できることを目標としています。
第三診療部 副部長 由比 瑞穂
日本神経学会神経内科専門医 日本内科学会総合内科専門医 日本認知症学会専門医
※患者さん、スタッフには写真公開の同意と許可を得ております。
【旬を美味しく味わう~季節を感じる果物の提供~】栄養科
当院では、「患者さまに食事を通じて季節を感じてもらいたい」という思いから月に一回、旬の果物を提供する取り組みを始めました。昨年はイチゴ、スイカ、メロン、みかん、キウイフルーツ、梨を提供しました。さらにイベントを感じていただけるように「栄養士の手作りイラストカード」を食事と一緒に添えて配膳しています(写真)。
旬の果物の提供を通じて出身地の特産フルーツや思い出などいつもと少し違った会話ができるのも喜びの一つです。これからも季節感のある食事提供を行い、患者さまの食の楽しみを支えていきたいと思います。
旬の果物を提供
鶴巻温泉病院 栄養科スタッフ
指定難病医療費助成制度をご存じですか?
原因不明で治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち厚生労働大臣が定める疾病(指定難病)の患者さまには、医療費の負担軽減を目的としてその治療に係る医療費の一部の助成が受けられる指定難病医療費助成制度があります。
支給認定されるためには、認定基準を満たしている必要があります。まずはかかりつけの医師にご相談ください。
新規申請対象者
- 指定難病(難病のうち厚生労働省令によって指定された疾病)に該当し、症状が認定基準を満たしていること。
- 国民健康保険や社会保険などの公的医療保険に加入している、又は生活保護受給者
申請窓口
最寄りの保健所、保健福祉事務所
申請に必要な書類
- 特定医療費(指定難病)支給認定申請書(新規・転入用)
- 臨床調査個人票(難病指定医による記載から6か月以内のもの)
※診断書(臨床調査個人票)を記載できるのは、都道府県又は政令指定都市から指定された医師(指定医)に限られます - 患者さんと支給認定基準世帯員の健康保険者証のコピー
- 世帯全員の住民票の写し(発行から3か月以内のもの)
- 支給認定基準世帯員の市町村民税の課税状況の確認書類
支給認定の有効期間の開始日
保健所などが必要書類を全て受理した日から有効期間の開始となります。
医療費の助成対象
都道府県又は政令指定都市から指定された指定医療機関で行った治療に限られます。指定医療機関でない医療機関で行った治療については、払戻しの対象にはなりません。
助成の内容
受診した複数の医療機関の自己負担を全て合算し、自己負担上限月額を限度として負担することとなります。自己負担上限月額は、支給認定基準世帯員の市町村民税額(所得割額や均等割額)に応じて下の表のようになります。
自己負担上限月額(2021年11月現在)
クリックで拡大表示(PDF)↓
- 市町村民税の所得割額が0円であっても、均等割額が課税されている場合は、「一般所得I」となります。
- 表は神奈川県HP指定難病医療費助成制度より引用 最新の情報は神奈川県ホームページでご確認ください。
- 当院では、新規申請は難病の診断を受けた病院やかかりつけ医にまず相談することを勧めています。 当院入院中の患者さまの更新の場合は、当院で対応しています。
神経難病におけるリハビリテーション治療 第3診療部長 秋山 克徳
日本神経学会専門医・指導医 秋山 克徳
2020年10月から鶴巻温泉病院に赴任致しました、秋山 克徳と申します。元々、大学病院で神経内科医として勤務していましたが、2010年に大学を退職し、横浜の病院に勤務しながらリハビリテーション治療に携わっていました。地元である、鶴巻温泉病院に勤務してからは、神経難病疾患に対して、薬剤治療とリハビリテーション治療を併用して、患者さん方に対応させて頂いております。
リハビリテーション治療は、脳卒中・脳挫傷・脳炎・多発神経炎などの脳神経疾患、大腿骨骨折・脊椎骨折・脊髄損傷・人工関節置換術などの整形外科疾患、肺炎・腹部手術・心臓手術後の廃用性症候群(全身の筋力が低下した状態)に対する治療として重要な方法と一般的には考えられております。現在では、これらの病状だけでなく、神経難病においてもリハビリテーション治療は、薬剤治療と同等な効果があると考えられております。
当院ではパーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病疾患の病状に対して、お薬の調整と共に、充実したリハビリテーション治療を実施しております。
理学療法士による歩行練習
作業療法士による透明文字盤でのコミュニケーション
言語聴覚士による飲み込みの練習
レクリエーショントレーナーによる集団レクリエーション
また自宅退院後は、当院からの訪問リハビテーションも実施しております。さらに、在宅診療で重要な訪問診療に関しても、当院と連携しているクリニックと協力し、神経内科医による神経難病に対する訪問診療が行えるよう、支援体制を整えております。
当院入院中および自宅退院後において、生活動作がスムーズに行えるよう、医師・看護師・介護福祉士・リハビリテーションスタッフ・管理栄養士・薬剤師・事務系など、多職種と相談しながら、有効な支援を行っていきます。できるだけ早い時期からリハビリテーション治療を行うことが重要と考えております。
自宅生活への移行をスムーズにするために、医師、看護師(看護助手を含む)、リハビリテーションスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、レクリエーショントレーナー)、社会福祉士、介護福祉士、管理栄養士、薬剤師と強力なチームを形成し、患者さんとご家族のため、研鑽し、行動していく所存です。
【新型コロナウイルスワクチンについて】薬剤科
新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)を予防するためのワクチンの接種が当院でも始まりました。今回はその新型コロナウイルスワクチン接種についてお伝えしたいと思います。
当院で使用している新型コロナウイルスワクチンはファイザー社製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンという新しい種類のワクチンです。mRNAワクチンではウイルスのタンパク質を作る基になる情報の一部を注射することで、私たちがもつ体内の異物を攻撃する免疫の仕組みを利用し、新型コロナウイルス感染症を予防します。
新型コロナワクチン「コミナティ筋注」
分注作業(一定の容量ずつ吐出すること)
コナミティ バイアル(上)とシリンジ
※光や温度に注意して保存
ワクチンは肩先から指3本分程度下の筋肉に注射するため、袖を肩の上まで余裕をもってまくる必要があります。すぐにまくれるように接種時は袖がゆったりした服装がお勧めです。
肩を出しやすい服装
明らかに発熱している方や重い急性疾患にかかっている方はワクチンの接種ができません。入院患者さんでお熱がある場合、接種日の変更など随時対応していきます。
ワクチン接種後は迷走神経反射(ワクチン接種に対する強い緊張や接種時の痛みをきっかけに、立ちくらみや血の気が引く)やアナフィラキシー(薬や食べ物が体に入ってから短時間で起こることのあるアレルギー反応)が現れる可能性があり得るため、接種後15分以上(過去に重いアレルギー症状を起こしたことがある方など、医師の判断によって30分の方もいらっしゃいます)は接種場所で座って様子をみることとなっています。
接種した当日は患者さんの体調を普段よりこまめに確認するようにしています。また、激しい運動は控えることが推奨されていますので、当院では入院患者さんの接種当日のリハビリテーションの強度は入浴相当としています。(接種当日の入浴は問題ありません。注射した部位はこすらないようにします)
ワクチン接種後、数日は接種部位の痛み・頭痛・倦怠感・筋肉痛・関節痛・発熱などが現れることがあります。接種直後よりも翌日に痛みを感じている方が多く、倦怠感や発熱などは1回目より2回目接種時の方が起こりやすいといわれています。
- 秦野市新型コロナウイルスワクチン接種ホームページ
- 神奈川県新型コロナウイルスワクチン相談センター:045-285-0719
24時間対応 - 厚生労働省新型コロナワクチンコールセンター:0120-761-770(フリーダイヤル)
午前9時から午後9時まで(土・日曜日、祝日も実施)
通常は1回目の接種後、3週間の間隔で2回目の接種を受ける必要があります。
1回目のワクチン接種後に現れた症状の種類によっては2回目の接種を受けない方が良いこともあります。接種後に気になる症状が現れた方は、2回目を接種するかどうかも含めて、かかりつけ医や接種した医療機関にご相談ください。
ワクチン接種後2週間程度で免疫ができると考えられますが、接種後も基本的な感染予防対策(マスクの着用・手洗い・咳エチケット・3密の回避等)は継続が必要です。
ワクチン接種に関する情報は日々更新されていますので、最新の情報については厚労省やお住まいの自治体のホームページ等でのご確認が必要となります。今回は接種時の注意点など、今後も大きな変更はないと考えられる点についてお伝えしました。
2階西病棟「患者様とご家族の思いをつなぐ取り組み」
特殊疾患病棟は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病などの難病患者や重度意識障害者が8割以上を占める長期療養を目的とした病棟です。
私たち看護・介護職員は、「声にならない声に気づき、心に寄り添う看護・介護を提供します」をミッションに掲げ、日々患者様のケアを行っています。
現在、当院は新型コロナウイルス感染症対策として面会禁止状態が続いています。患者様とご家族が半年以上面会できない状況で、心配や不安を抱いていらっしゃることだと思います。
そこで、患者様とご家族の思いをつなぐ取り組みとして、5月は職員の担当変更のお知らせと、患者様と共に撮った写真とメッセージカードを添えて配送しました。6月頃よりWEBを活用した面会が始まり、予約はすぐに埋まってしまう状況です。9月は面会できないご家族に少しでも患者様の様子を伝えたいという思いから、近況報告のカードと写真を添えて送りました。
ありがたいことに多くのご家族より返信や温かいお言葉をいただき、職員一同新型コロナウイルスに負けないように奮起し頑張っています。
メッセージカードと手紙
新型コロナウイルスが早く終息することを願いつつ、「看護・介護職がチームのキーパーソンとなり患者様・ご家族の思いをつなげる」という活動を今後も継続していきます。