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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

障がい者・難病リハビリ病棟スタッフコラム

障がい者・難病リハビリ病棟】の最新情報や取り組みをお伝えしています。

ジュウマンブンノイチ ダメ親父のALS闘病記 2017

2017.09.20

2017年 1月 初めての正月

入院して初めての正月を迎えることとなった。この病気を告知されてから丸二年が経過したことになる。その時二年後の生活がこんなことになっているとは想像もできなかった。ここに入院する前だが、D病院のDrに私の病気の進行具合はどんなものなのか聞いたことがある。超特急でもなければゆっくりでもないらしい。一般的に呼吸器を付けなかった場合の与えられた時間が数年とするならば、残された時間はあと二年ほどになるのであろうか。

もうおせち料理など食べることはないだろうと思っていたが、病院食で大好きな伊達巻や栗きんとんが出てきたので少しではあるが正月気分を味わうことが出来た。

2017年 2月 経管栄養

自分では病気の進行が止まったか、すごくゆっくりになった気でいたのだが実際は違うようで周りの生活が少し変わってきた。

トイレだが今までは座らせてもらったら一人で大丈夫だったが、常時見守りになってしまった。自分では何でと思うのだけれど介助するほうから見れば危なっかしくて事故でも起こされたら困るからだろう。あと首には頸椎カラーを付けるようになった。自分でもわかっていて首の筋肉がやせてしまったせいか頭が重く感じ動かしたときにカクカクしてしまうようになっていた。うっとうしいので付けたくはなかったが、介助するほうからすれば付けてもらいたいようだ

現時点で最終的に気管切開してまでの呼吸器の装着は望んではいないのだが、呼吸器がどんなものかとお試しで練習するようになった。というのは、夜間に酸素量が足りていない時間がたまにあるらしい。この先苦しくなってきたときに付ける付けないは別として、もし付けたいとなった場合、少しは練習して機械に慣れていないとうまく使えないようだ。

今までは朝昼晩と三食食べさせてもらっていたが、朝食が中止になり経管栄養のみになった。おかずにもよるが飲み込むのを失敗するとむせることが多くなってきた。病院からすれば極力、誤嚥性肺炎のリスクを無くしたいようだ。

2017年 3月 食べる楽しみ

先月朝食が中止になったばかりなのだが、とうとう昼食と夕食も取り止めになってしまった。今まで本人の希望で肺炎になっても構わないからということで食べさせてもらっていたが、食事中にむせることが多くなり病院側からすればほんとうに肺炎にするわけにはいかないようだ。これから先一生ご飯もおかずも食べられないと思うとなんか複雑な思いだ。でもこれで誤嚥してむせ苦しむようなことが無くなったので良しとするしかない。必要な栄養は経管からとるようになったので口からは食べる楽しみとして、トロミたっぷりのジュースとヨーグルトなどを食べさせてもらっている。

造ったときは納得できなかったのだが、この頃になると元気なうちに胃ろうを造っておいてよかったなとつくづく思う。体も弱ってきて何もかも自分専用にカスタマイズされた環境設定によって生かされている今、これから胃ろうを造ろうとほかの病院へ行くことなど考えられない。

2017年 4月 桜をみる

久しぶりに病院の外に出た。桜がきれいだからとPTさんが散歩に連れていってくれた。暑くもなく寒くもなく晴れも雨も関係ない生活をしているため季節感があまりない。外は冬の寒さも去りすっかり春めいていて気持ちがよかった。

去年も一昨年も桜は咲いていただろうが病気のことで頭がいっぱいで桜を見るなんて心の余裕はなかった。たまたま連れてきてもらった場所は、以前ラジカットを打ちに通っていた病院の駐車場のわきの桜の木だった。ここに来るとかみさんに連れられて通っていたころのことを思い出した。車いすから車へ乗り移るときいつも苦労していて、あの頃は何もかもがいっぱいいっぱいだった。今は桜をみる余裕がある。心の中では病気のことを受け入れるようになったのだろう。

病気の進行が止まっているように感じていたが、最近状況が変わったことがある。今まではかすかに動く右手の人差し指で伝の心のタッチスイッチを操作したりナースコールを押せていたが、まるっきり手が動かなくなった。こうなることは想定していたので、事前に頭で操作する練習していたのですんなりと移行することが出来た。ナースコールはOTさんがすぐに対応してくれて、かすかに動く足で操作できるようになった。

たまたまマイトビーを試す機会があった。使ってみた感想は、専用の眼鏡のようなものを付けるのかと思ったが裸眼で文字を認識できるようで驚いた。慣れかもしれないが見つめているところが文字になるのでぼ~とすることが出来ず目が疲れるような感じがした。あと視界の先に常にモニターがあるので少しうっとうしい気がした。伝の心を購入するときに検討したが、一番のネックは百万オーバーの値段だろう。

2017年 5月 毎日毎日があっというまで

今月で入院してちょうど1年が経ちました。入院当初は病院生活になかなかなじめず苦労しておりましたが、最近は不思議なくらい毎日毎日があっというまで1年が経過した感じです。毎日好きなテレビを見てマッサージをしてもらって、かみさんには申し訳ないような生活を送っております。

家にいるときに比べたら病気の進行がものすごいゆっくりに感じていたが、1年前に比べて大きく変わったことがある。自分の手で白米や刻んだおかずを食べれていたが、今は手がまるっきり動かなくなり、食べるものもお粥でさえうまく飲み込むことが出来ずにむせることが多くなったため食事が中止になった。

最近ジュースやプリンなど甘いものしか口にしていなかったので違うものが食べたくなり、茶わん蒸しとネギトロを食べさせてもらった。茶碗蒸しは問題なかったが、ネギトロはうまく飲み込むことが出来なかった。正月に出たときには食べれたのに、嚥下障害が進んでいるようだ。

2017年 6月 梅酒作り

普段飲んでいるジュースの他に何か飲みたいのある?と聞かれたのでダメもとで梅酒が飲みたいといったら意外にもあっさりOKが出た。本当はビールを飲みたいのだが今となってはのど越しを楽しむことも出来ないし、コーラやサイダーで試してみたが炭酸の飲み物にとろみをつけると不味くなるので味が想像できる。そもそもビールというのは仕事を頑張ったご褒美にクワ~と飲むからおいしいのであって、今の自分には資格がないようである。

近所のスーパーに連れてきてもらって梅酒を買った。久しぶりのお酒、たまに少し飲むくらいなら罰が当たらないだろうか。今まで梅酒というのは家で作っていたと話したら、調理実習の一環として病院で作ってもいいことになった。病院の中でこんなことしている人は私以外にいるのだろうか。

調理実習の一環として病院で梅酒作り
調理実習の一環として病院で梅酒作り

日頃書いているこのコラムを病院のHPに掲載するようになってから閲覧数が増えたとかやらで表彰されることになった。生まれてこの方卒業証書以外にこのようなものを貰ったことがなかったので、頂けるものはありがたく頂戴することにした。

表彰式
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感謝状と記念品
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