障がい者・難病リハビリ病棟の取り組みをお伝えします
障がい者・難病リハビリ病棟では、重度の障がい者や、進行期の難病、特に神経難病の患者さまに、医療・看護・介護・リハビリテーションを通して、多職種で、その人らしく生きるためのお手伝いをしています。在宅療養中の方には在宅サポート入院(レスパイト入院)をご利用いただいております。
ALS患者の絵本~つるまき温泉病院物語~
入院患者さまの中には、様々な不安や心理的な葛藤を抱えている患者さまがいらっしゃいます。リハビリスタッフは少しでも患者さまの苦痛の軽減が図れるよう関わっています。
今回、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さまと一緒に「つるまき温泉病院物語」という絵本を作成しました。同じ病気で苦しんでいる人たちと2人の娘さまに対する思いを込めて絵本を作りました。
ストーリーは入院生活のエピソードをもとに患者さまが考え、イラストは担当作業療法士が描きました。進行していく病気と向き合いながら、伝えたいことを何度も何度も考えながらできた1冊です。
完成後、患者さまより「自分の気持ちを整理できて良かった」「気持ちが落ち着いた」「みんなに知って欲しい」との感想が聞かれました。
皆さんにも読んで頂ければと思います。
(追記)
絵を描いた作業療法士が絵本を読みました 鶴巻温泉病院 YouTube
絵を描いた作業療法士が絵本を読みました。鶴巻温泉病院のYouTube ユーチューブや公式Facebookページでご覧いただけます。※音声が流れますのでご注意ください。
嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing : VE)について
神経難病では病状の進行とともに高率に嚥下障害を合併し、食事中のむせ込みが目立つようになり時には肺炎発症に至ります。肺炎を始めとした重篤な病状において経口摂取ができない期間が続くと、さらに嚥下機能障害が進行します。患者さんの生活の質(QOL)向上のため嚥下機能の維持は重要な要素です。嚥下リハビリテーションの可否・必要性や適切な食形態を決定するためには嚥下機能評価が必須です。
嚥下機能評価検査には嚥下内視鏡検査(VE)と嚥下造影検査(VF)がありますが、VEは検査室に移動せずベッドサイドで容易に施行可能で、放射線被ばくがないことがメリットです。
VE検査では喉頭内視鏡(カメラ)を鼻から挿入し、カメラの先端が咽頭(のど)に達すると喉頭蓋(気管の蓋)、声帯、食道入口部が観察できます。まずは咽頭内の唾液の溜まり具合や咳の反射の起こりやすさを判定します。
嚥下内視鏡検査(VE)
その後、少量の着色トロミ水やゼリーを飲み込んでもらいます。飲み込むタイミングではカメラには何も映らなくなり(ホワイトアウト)、飲み込む様子そのものは観察できませんが、飲み込みが起こるタイミングや飲み込んだ後の咽頭内の残留物の程度を観察することにより、嚥下状態を類推することができます。
上記の観察結果をスコア化(一般的には兵頭スコアが用いられます)し、スコアにより嚥下訓練の可否や訓練の程度を判定します。
【閲覧注意】嚥下内視鏡検査(VE)動画です。喉頭内視鏡(カメラ)を鼻から挿入し、咽頭部の動きの状態を観察します。
【閲覧注意】クリックでVEの動画(YouTube)が表示されます。字幕ONで簡単な説明が表示されます。
鶴巻温泉病院 障がい者・難病リハビリ病棟 医師 清水 学
退院後も安心して栄養ケアを続けていくために ~栄養情報提供書の紹介~
当院では退院後も個々にあった栄養ケアが続けられるように様々な取り組みを行っています。今回はその一例として、栄養情報提供書を紹介させていただきます。
栄養情報提供書とは、主に「かむ」・「飲み込む」力が弱くなった方や糖尿病などの生活習慣病がある方、食事が進まず退院後も食事の工夫が必要な方などを対象に作成し、退院時に患者様・ご家族にお渡ししているものです。栄養情報提供書には食事の量や形態・水分のとろみの有無、実際に摂取していた量、体重の変化などの栄養ケアの経過を記載しています。栄養情報提供書を退院先の管理栄養士や在宅ケアを担当するケアマネジャーに渡すことにより、入院中の栄養ケアに関わる情報を円滑に共有することができます。
当院の栄養情報提供書は、食事形態などの写真を載せてイメージしやすいように工夫しています。退院後も患者様・ご家族が安心して生活を送れるように栄養情報提供書を通して支援を行っていきたいと思います。
食べる楽しみの支援 ~おいしい・また食べたい~
障がい者・難病病棟には病気の進行により、お口から食べることが難しくなる患者様がいます。そのため言語聴覚士は少しでも長く食べる楽しみを感じて頂けるよう支援しています。
言語聴覚士が行う支援の一つとして、誕生日などの特別な日に主治医の許可の下、やわらかく調理された介護食品や飲み込みやすく加工した嗜好品を、誤嚥・窒息に配慮した設定で味わって頂くことがあります。
下の写真は飲み込むことが難しい患者様でも食べられるように加工した年越しそば(とろろそば)です。リハビリの時間に作業療法士と管理栄養士が協力して、麺から作りました(うどんに見えるかもしれませんが・・・)。
今後も患者様が食べる楽しみを感じてもらえるよう支援していきたいと思います。
年越しそば (とろろそば)
お出かけ図書館 ~そうだ、旅に出よう~
当病棟には「お出かけ図書館」という名の図書コーナーがあります。患者様の外出のきっかけになればと思い、普通の観光雑誌だけではなく、車椅子で行けるバリアフリーの温泉旅行の本を並べています。
ロビーの一角に設置しており、時折患者様だけではなく面会にいらっしゃったご家族も読んでいる場面を見かけます。ご家族からは「こんな本があるなんて知らなかった。今度一緒に出掛けてみようかな」とのこと。
長く入院している患者様は外出することを諦めてしまう方も大勢います。最近はバリアフリーで行ける旅行も増えているので、この図書コーナーをきっかけに患者様の外出を支援していきたいと思います。
[お出かけ図書館]
特殊疾患病棟『笑顔の輪』
先日、2階西病棟のスタッフと病棟会で、みんなの"ありたい姿"を形にしました。
グループに分かれて、それぞれどんな病棟にしたいのか、こむぎこ粘土を使って創作し、タイトルをつけて発表しあいました。
「患者と共に笑顔でありつづける」