障がい者・難病リハビリ病棟の取り組みをお伝えします
障がい者・難病リハビリ病棟では、重度の障がい者や、進行期の難病、特に神経難病の患者さまに、医療・看護・介護・リハビリテーションを通して、多職種で、その人らしく生きるためのお手伝いをしています。在宅療養中の方には在宅サポート入院(レスパイト入院)をご利用いただいております。
神経難病におけるリハビリテーション治療 第3診療部長 秋山 克徳
日本神経学会専門医・指導医 秋山 克徳
2020年10月から鶴巻温泉病院に赴任致しました、秋山 克徳と申します。元々、大学病院で神経内科医として勤務していましたが、2010年に大学を退職し、横浜の病院に勤務しながらリハビリテーション治療に携わっていました。地元である、鶴巻温泉病院に勤務してからは、神経難病疾患に対して、薬剤治療とリハビリテーション治療を併用して、患者さん方に対応させて頂いております。
リハビリテーション治療は、脳卒中・脳挫傷・脳炎・多発神経炎などの脳神経疾患、大腿骨骨折・脊椎骨折・脊髄損傷・人工関節置換術などの整形外科疾患、肺炎・腹部手術・心臓手術後の廃用性症候群(全身の筋力が低下した状態)に対する治療として重要な方法と一般的には考えられております。現在では、これらの病状だけでなく、神経難病においてもリハビリテーション治療は、薬剤治療と同等な効果があると考えられております。
当院ではパーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病疾患の病状に対して、お薬の調整と共に、充実したリハビリテーション治療を実施しております。
理学療法士による歩行練習
作業療法士による透明文字盤でのコミュニケーション
言語聴覚士による飲み込みの練習
レクリエーショントレーナーによる集団レクリエーション
また自宅退院後は、当院からの訪問リハビテーションも実施しております。さらに、在宅診療で重要な訪問診療に関しても、当院と連携しているクリニックと協力し、神経内科医による神経難病に対する訪問診療が行えるよう、支援体制を整えております。
当院入院中および自宅退院後において、生活動作がスムーズに行えるよう、医師・看護師・介護福祉士・リハビリテーションスタッフ・管理栄養士・薬剤師・事務系など、多職種と相談しながら、有効な支援を行っていきます。できるだけ早い時期からリハビリテーション治療を行うことが重要と考えております。
自宅生活への移行をスムーズにするために、医師、看護師(看護助手を含む)、リハビリテーションスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、レクリエーショントレーナー)、社会福祉士、介護福祉士、管理栄養士、薬剤師と強力なチームを形成し、患者さんとご家族のため、研鑽し、行動していく所存です。
【服薬指導について】 薬剤科
前回の薬剤科のコラムは、薬剤師がご自宅に伺ってお薬を管理する訪問薬剤管理指導についてでしたが、今回はベッドサイドで行うお薬の説明についてお伝えします。
※服薬指導時を含め、職員は常時マスクを着用しています。
病院で行う服薬指導は、医師の依頼のもとに薬剤師が行う「薬剤管理指導業務」という業務の一環となっています。「薬剤管理指導業務」とは薬剤師が薬歴管理と服薬指導を介して入院患者さんの薬物療法への認識を向上させ、また患者さんから得られた情報を医療スタッフへフィードバックすることで薬物療法を支援する業務と定義されています。
まず伺う前に患者さんの薬・アレルギー・副作用歴・経過などの情報を確認します。
レボドパ含有製剤などのパーキンソン病治療薬は、症状をコントロールするために服用する薬剤の量や服用時間が患者さんによって異なるため、これまでの内容から変更があるかどうかもチェックします。
患者さん・ご家族のところに伺い、現在服用している薬の効果・飲み方・注意点などをお薬の説明書を用いて説明します。また、お話の中で薬の副作用や飲み辛さなどの問題が起こっていないかなども確認しています。
療養生活の楽しみ ~経管栄養の方の口から味わう支援~
※当院では 新型コロナウイルス感染症対策のため、2020年2月25日より面会禁止とさせていただいております。皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。
写真左から患者A様、作業療法士、管理栄養士
2020年1月27日撮影
障がい者・難病リハビリ病棟では疾患の進行によって口から食べることが難しくなり、鼻や胃に管を通して栄養補給する(経管栄養といいます)患者様も多くいらっしゃいます。
「経管栄養になると、2度と口から食べることできなくなる」と不安の声を伺うことがあります。しかし経管栄養を行いながら、口から食べることを楽しむ患者様も多くいらっしゃいます。当病棟では、「患者様が食べたいもの」を食べる機能に応じて調理の工夫や環境の調整を行うことで「食」の支援を行っています(※主治医の許可が必要となります)。
今回は経管栄養の患者様(A様)に対する食べることの支援を紹介します。
リハビリテーション「車椅子はただの移動手段?」
車椅子と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか?車椅子=移動手段と考えられている方も少なくないと思います。今回は車椅子について話をしたいと思います。
車椅子には背もたれが倒れるものや座面ごと後ろに倒れるもの、呼吸器を載せられるものなど様々なものがあります。当病棟では患者様の健康状態や活動性に合わせて車椅子を選定しています。
当院で使用している車椅子の一部
在宅難病患者受入れ病床確保事業について
当院では、在宅で出来るだけ長く療養が継続出来るように在宅療養をバックアップすることを目的とした在宅サポート入院(レスパイト入院)の受け入れを行っています。また、神奈川県の事業である「在宅難病患者受入れ病床確保事業」の協力病院になっています。
当院では、「在宅難病患者受入れ病床確保事業」で入院申し込み頂いた方を優先的に日程調整しています。当院の在宅サポート入院(レスパイト入院)と「在宅難病患者受入れ病床確保事業」では、対象患者、入院日数等の規則が異なりますので詳細は、お住まいの保健所・保健福祉事務所に問合せください。
リハビリテーション「生活の質の評価」
当病棟では患者様の生活の質を評価するために、シーコール(Schedule for the Evaluation of Individual Quality of Life:SEIQoL )という評価を実施しています。
SEIQoLは世界各国で使われている生活の質の評価方法です。面接で個人の生活の質を決定する最も重要な5つの領域を聴取し、それぞれの領域の満足度(レベル)、重要性を評価します。患者様によって生活の中で大切にしている領域が異なるため、患者様が大切にしている領域を聴取し、患者様一人一人に合った支援を行うようにしています。
ある患者様の5つの領域