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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

身体の話シリーズ

運動したり、病気になったりすると身体の色々なところに不具合が生じます。そんな時に知っておいて良かったと思える話を連載していきます。

第1回 熱中症 凍ったペットボトルの効能

 真夏日(最高気温が30度以上)、猛暑日(35度以上)となると、熱中症で倒れる人が急激に増えます。


 大学病院時代、私の外来でもひどい頭痛がするという中学1年生の少年がきました。夕方 急に頭全体が痛くなって吐いたというのです。中学生で外傷もないのに突然頭痛がおこることはあまりありません。頭部の検査をしても出血や頭痛の原因となる病気はありません。採血では炎症反応はありませんでしたが、体温を測ってみると37.7度でした。よく聞いてみると彼は野球少年で、ここ何日か部活で野球をやっていて、部活が終わったあとに頭が痛くなったとのことでした。これは熱中症の中の熱疲労だろうと考え、点滴をしたら症状は治りました。


イラストbyひろき
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 熱中症は程度によって3つに分類されます。
(1)熱けいれん、(2)熱疲労、(3)熱射病です。


 (1)の熱けいれんは塩分不足のために筋肉がピクピクとけいれんします。ひどく汗をかいた時に水分だけ補給すると起こりやすい症状です。塩分を含んだスポーツドリンクを飲みましょう。


 (2)の熱疲労は脱水がひどくなったときに起こります。体温調節は維持されていますから体温はそれほど高くなく、汗もかきます。身体のだるさと供に頭痛、嘔吐、めまいなどの症状がでます。尿量が少なくなります。この場合は尿が出るようになるまで点滴をします。


 (3)の熱射病は重症です。体温も40度以上になり、汗もかけなくなり、意識がなくなります。筋肉が破壊されたり、血液が溶けて尿が赤くなったりします。


 熱中症で人が倒れたらまず日陰に運び、横向きに寝かせて衣服を緩めて、水分を与えます。足を少し上に上げて血圧を確保し、首や脇、太ももの付け根につめたいものを充てて身体を冷やします。熱射病では身体を冷やし、点滴をし、尿が出ない場合は透析をする場合もあります。


 熱中症は予防が大切です。夏の野外での運動は必ず帽子をかぶりましょう。また運動の前後に体重を測りましょう。運動の後に体重が2%以上減っていた場合は要注意で、しっかり水分を取って戻しましょう。70Kgの人は1.4kgまでです。


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 水分の補給には0.1-0.2%の塩分と4-6%の糖分を含んだ水が良いとされていますからチェックしてください。このスポーツドリンクを2本凍らせて(※)持っていきましょう。熱中症になりそうだったら脇の下に挟んで身体を冷やすことができますし、溶けたら水分補給で飲めば良いのです。きっと役に立つと思います。


 (※)ペットボトルに入った飲み物を凍らせると、中味が膨張し、容器が変形や破損をしたり、密封性が損なわれる恐れがありますから注意してください。(冷蔵冷凍兼用製品は除く)
参考:サントリー Q&A

鶴巻温泉病院 病院長 鈴木 龍太


知って得する身体の話 INDEX

時々知らなくても良いことや、知らないほうが良かった話もあるかもしれません。気軽に読んでください。


一般にはあまり知られていないことや、少し知っておくと役に立つことなども取り上げていますので、参考としていただければ幸いです。気になる症状がある方は、かかりつけ医にご相談いただき、専門の医療機関を受診することをお勧めします。

執筆 鶴巻温泉病院 病院長 鈴木 龍太

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