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- 障がい者・難病リハビリ病棟スタッフコラム
- 2019年
ALS患者の絵本~つるまき温泉病院物語~
入院患者さまの中には、様々な不安や心理的な葛藤を抱えている患者さまがいらっしゃいます。リハビリスタッフは少しでも患者さまの苦痛の軽減が図れるよう関わっています。
今回、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さまと一緒に「つるまき温泉病院物語」という絵本を作成しました。同じ病気で苦しんでいる人たちと2人の娘さまに対する思いを込めて絵本を作りました。
ストーリーは入院生活のエピソードをもとに患者さまが考え、イラストは担当作業療法士が描きました。進行していく病気と向き合いながら、伝えたいことを何度も何度も考えながらできた1冊です。
完成後、患者さまより「自分の気持ちを整理できて良かった」「気持ちが落ち着いた」「みんなに知って欲しい」との感想が聞かれました。
皆さんにも読んで頂ければと思います。
(追記)
絵を描いた作業療法士が絵本を読みました 鶴巻温泉病院 YouTube
絵を描いた作業療法士が絵本を読みました。鶴巻温泉病院のYouTube ユーチューブや公式Facebookページでご覧いただけます。※音声が流れますのでご注意ください。
嚥下内視鏡検査(videoendoscopic evaluation of swallowing : VE)について
神経難病では病状の進行とともに高率に嚥下障害を合併し、食事中のむせ込みが目立つようになり時には肺炎発症に至ります。肺炎を始めとした重篤な病状において経口摂取ができない期間が続くと、さらに嚥下機能障害が進行します。患者さんの生活の質(QOL)向上のため嚥下機能の維持は重要な要素です。嚥下リハビリテーションの可否・必要性や適切な食形態を決定するためには嚥下機能評価が必須です。
嚥下機能評価検査には嚥下内視鏡検査(VE)と嚥下造影検査(VF)がありますが、VEは検査室に移動せずベッドサイドで容易に施行可能で、放射線被ばくがないことがメリットです。
VE検査では喉頭内視鏡(カメラ)を鼻から挿入し、カメラの先端が咽頭(のど)に達すると喉頭蓋(気管の蓋)、声帯、食道入口部が観察できます。まずは咽頭内の唾液の溜まり具合や咳の反射の起こりやすさを判定します。
嚥下内視鏡検査(VE)
その後、少量の着色トロミ水やゼリーを飲み込んでもらいます。飲み込むタイミングではカメラには何も映らなくなり(ホワイトアウト)、飲み込む様子そのものは観察できませんが、飲み込みが起こるタイミングや飲み込んだ後の咽頭内の残留物の程度を観察することにより、嚥下状態を類推することができます。
上記の観察結果をスコア化(一般的には兵頭スコアが用いられます)し、スコアにより嚥下訓練の可否や訓練の程度を判定します。
【閲覧注意】嚥下内視鏡検査(VE)動画です。喉頭内視鏡(カメラ)を鼻から挿入し、咽頭部の動きの状態を観察します。
【閲覧注意】クリックでVEの動画(YouTube)が表示されます。字幕ONで簡単な説明が表示されます。
鶴巻温泉病院 障がい者・難病リハビリ病棟 医師 清水 学
食べる楽しみの支援 ~おいしい・また食べたい~
障がい者・難病病棟には病気の進行により、お口から食べることが難しくなる患者様がいます。そのため言語聴覚士は少しでも長く食べる楽しみを感じて頂けるよう支援しています。
言語聴覚士が行う支援の一つとして、誕生日などの特別な日に主治医の許可の下、やわらかく調理された介護食品や飲み込みやすく加工した嗜好品を、誤嚥・窒息に配慮した設定で味わって頂くことがあります。
下の写真は飲み込むことが難しい患者様でも食べられるように加工した年越しそば(とろろそば)です。リハビリの時間に作業療法士と管理栄養士が協力して、麺から作りました(うどんに見えるかもしれませんが・・・)。
今後も患者様が食べる楽しみを感じてもらえるよう支援していきたいと思います。
年越しそば (とろろそば)
【貼り薬について】薬剤科
貼り薬は皮膚に貼付して薬の効果を発揮させる製剤です。
貼付部位で局所的に効果を発揮する薬剤が一般的に馴染み深いと思いますが、最近は皮膚から吸収され血中に入った薬剤が全身に作用する「経皮吸収型製剤」も増えています。
局所で作用するものには
- 消炎鎮痛効果のある湿布薬
- 表面麻酔作用のあるテープ剤
などがあります。
湿布薬には熱をもった患部に使用するメントール(ハッカ油)等が配合された冷湿布、血行不良による痛みをもった患部に使用するトウガラシエキスが配合された温湿布があります。
認知症と「記憶」 第3診療部 中島 雅士
認知症の病名を告げられた時、その当人と家族はどのように受け止めるでしょうか。
認知症に関する報道やテレビ・ドラマは、その多くは患者が徐々に社会的に孤立していく悲観的な内容のものです。残念ながら、これは多くの患者と介護者にとっての現実です。現在、認知症の進行を防ぐ有効な治療法がなく、健康な暮らしを続けることができなくなるという通念によって、病的な物忘れの徴候が初めて明らかになった時、患者または介護者は不安にさいなまれるでしょう。
しかし、認知症患者は本当に残された人生を楽しく送ることはできないのでしょうか。「残された人生を楽しく送る」鍵は、代表的な認知症であるアルツハイマー型認知症で、最も早くから障害される「記憶」について理解することにあります。
認知症を患う方の記憶に関して最も重要な特徴は、新しい内容を覚えられない、ことにあります。あなたが認知症患者と接するときに、新しい情報を覚えるような要求をやめることで、患者とのコミュニケーション困難による多くの問題は解決します。
具体的には、
- 質問しない。
- 患者から認知症について学ぶ。
- 患者の話す内容に同意する。決して反論を述べない。
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