好物の果物を届けることで会えない母との接点ができたように感じました
2022.05.17
2021年1月から11月までの約10ヶ月間、母が大変お世話になりました。母は6月より腎不全のため、急性期病院や老人保健施設への入退院を繰り返し、前病院の紹介にて貴院へ入院することとなりました。
前病院では、「透析が必要な時期に来ているが、92歳と高齢であり痴呆の症状もあることからできない。」透析しない場合、余命3ヶ月から6ヶ月」と言われていました。入院後の母との面会はコロナ禍であるため、月1回10分間のFacetimeで行っていたので入院生活をどのように過ごしていたかは不明ですが、主治医・スタッフの皆さまとの電話等で症状や生活を確認していました。ある時病院から電話があり、「食欲がない。好きだった食べ物を持ってきて欲しい」と言われました。他の病院や施設で「食欲がない」と言われたことはあるのですが、この様な連絡には驚きました。私はこの日から定期的に「さくらんぼ」「みかん」など好物の果物を届け、またそれにより会えない母との接点ができたように感じました。他界する前日看護師より、「みかんが好きというのが印象的で、こちらが用意する前に口を開けて待っている。もし、今持ってきてもらえるなら舌にのせて味わうこともできると思う」と言われ、慌てて買った事を思い出します。後日、病院から母にスポンジでみかんを口に含ませている姿の写真が送られてきて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。コロナ禍ではありますが、このような優しい病院の方々に囲まれ母も安らかに過ごせたのではないかと思います。ありがとうございました。
(2021年 ご退院・医療療養病棟)