blog_45 臨床指標(クリニカルインディケーター)について
2013.05.10
臨床指標とは、医療の質を数値等で表し、客観的に評価することができるようにしたものです。臨床指標を評価することは次のような利点があります。
- 臨床指標をモニターしていくことで、一定水準の医療の質を維持、向上することできる。
- 毎年指標を追うことで、質が向上したかどうかを判断できる。
- 多くの病院が同じ指標を用いて数値化することにより、ベンチマーク(基準値)を設定することができる。
- ベンチマーク(基準値)と自院の指標を比較することで、質が高いか、または改善が必要なのかの判断材料になる。
- 患者さんが病院を選ぶ基準の一つとして臨床指標を用いることができる。
平成23年度から慢性期医療協会が厚労省の「医療の質の評価・公表推進事業」に参加し、27の臨床指標について全国の40病院のデータを収集し、公表しました(院長通信2012年6月号)。
平成24年度は当院から医療療養病棟、回復期リハビリテーション病棟、介護療養病棟が参加しました。全国平均と当院の指標を表にした詳細なデータを掲載します。
画像のクリックで拡大表示します↓
平成23年度の数値を( )内に示しています。◎を付けた指標は全国平均よりかなり良い数字のもので、▲を付けた指標は低い指標のものです。
これを見ますと
- 当院では肺炎や尿路感染症の発生率が低く、治癒率が高いと言えます。
- また転倒・転落による重症事故の発生も少ないと言えます。
- リハビリテーションによる3ヶ月後の改善率は全国平均よりかなり高い値を示しています。
- 一方褥瘡(じょくそう:床ずれ)の治癒率が23年は全国平均よりかなり高かったのですが、24年度は平均より下回っています。原因を解明し、改善に取り組まないといけません。
- 回復期では抑制が行われている患者さんの比率が全国平均より高いことが分かります。しかし、23年度と比較すると半減しており、改善の努力をしていることが分かります。
このように臨床指標を継続的にモニターすることで、病院の質の評価とその向上を確認することができます。更にそれをHP等で公表することにより、患者さんが病院を選ぶ参考にすることができ、鶴巻温泉病院の方針にある「患者さんに選ばれる病院」に近づけると思っています。
ビールがおいしい季節になりました。
ビールといっても病院ですから、ノンアルコールビールをイベント等で飲んでいただいています。
でも写真のビールは飲めません。
ノンアルコールビールをゼリーで固めたビールゼリーです。嚥下障害がある患者さんに少しでも気分を味わっていただけたらという気持ちで作ったものです。
患者さんは食べるビールを楽しんでくださったそうです。
2013年5月8日 鶴巻温泉病院 院長 鈴木龍太
湘南メディカルセンター 湘南リハビリテーションセンター