blog_31 1.最後の場所 2.学術研究発表会
1.最後の場所
3月11日で東日本大震災から1年が経ちました。それぞれの人がそれぞれの思いでこの日を迎えたことと思います。地震で直接亡くなった方は15854人、行方不明者は3155人(平成24年3月14日現在)ですが、それとは別に長引く避難生活などで体調が悪化して亡くなる震災関連死と認定された人が1438人でした。ご冥福をお祈りいたします。また私事ですが先日92歳の父が亡くなりました。そんなわけで最近「人の死」を考えることが多くなっています。
皆さんは「ご自身の最後の場所」を決めていらっしゃいますか?
厚労省の統計によると(図1) 1951年には80%以上の方が自宅で亡くなっていましたが、最近では完全に逆転して殆どの方が病院で亡くなっています。
ではその方たちがもともと「病院で死にたい」と望んでいたかというと、実はそうではないという統計が出ています(図2)。90%近い高齢者が「自宅」を希望していたそうですが、そのうち3分の2の方が「病院」で亡くなったそうです。
(図2)
ではどうしたら自宅を「最後の場所」とすることができるのでしょうか?
そのためにはご本人も、ご家族もしっかりした覚悟と準備が必要です。
自宅で亡くなった場合、訪問診療や、かかりつけ病院の医師など、いつも見ている医師が診断しないと死亡診断書が書けません。24時間以内に診察をしていない患者さんが亡くなった場合、死亡の原因が分かりません。病気ではなく、事故や犯罪かも知れないので、医師は警察に届ける義務があるのです(医師法21条)。これは病院に勤務している医師も同様です。自宅で息を引き取った場合、通常は救急車を頼むことになります。救急隊は救急病院に搬送します。「かかりつけの病院」に運ばれれば、病死だと判断できますが、初めての「救急病院」では、やはり警察に届け出ることになります。その場合、法律に従って検視が行われ、死因がはっきりしない場合は「行政解剖」、万一、犯罪が疑われた場合には「司法解剖」になることもあります。
もし皆さんが「自宅を最後の場所に」と望んでいらしたら、
(2)かかりつけの病院に急変のときは診てもらえるように約束をしておく
ことが大切です。また、
(3)心臓マッサージや人工呼吸器の使用に関しても実施して欲しいか欲しくないか分かるように書いておいたほうがいいと思います。
2.鶴巻温泉病院学術研究発表会
2月26日に第23回の鶴巻温泉病院学術研究発表会がありました。今年も大変レベルの高い発表が続きました。賞を取った発表は以下です。
1.鶴巻温泉病院長賞
もし薬剤師が病棟に常駐したら
~病棟業務と薬剤管理指導の充実を目指して~
薬剤科 星﨑寛子
共同研究者 福田詩織 内海誠司 新枦義之 樋島学 藤本康嗣
2.教育研修推進委員会賞
嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査を用いた多職種参加によるカンファレンスの実施
~実施前後でのスタッフの意識変化について~
リハビリテーション部 原田湖子
3.特別賞
(1)ケアとしての園芸療法
リハビリテーションン部 金子みどり
(2)当院の転倒転落アセスメント表の信頼性・妥当性の比較・検討
3階南病棟 杉本亘哉、川口清美
(3)尿失禁患者への排泄援助
~高次脳機能障害を持つ患者への排泄アプローチ~
2階南病棟 岡田知佳、屋代忠孝、渋谷仁美
(4)ニーズを取り入れた離床へのアプローチ
3階東病棟 岡美幸
(5)訪問看護記録様式の開発
~サービスの質の向上、記録の効率化を目指して~
鶴巻訪問看護ステーション 前田渚、和田洋子、門倉佳子、清水洋子、牧栄理
2012年3月 鶴巻温泉病院 院長 鈴木龍太
湘南メディカルセンター 湘南リハビリテーションセンター