blog_21 患者さんの「笑顔」や「ありがとう」がわたしたちの力に
鶴巻温泉病院では年に1回学術研究発表会を行います。
今年は3月6日に伊勢原市民文化会館で第22回の発表会を行いました。20題の演題が発表されましたがどれもすばらしいものでした。昨年から賞を出していますが今年受賞した発表を紹介します。
病院長賞:5階南病棟 齋藤拓、内田太一
「当病棟の汚物庫に於けるコーヒー豆による消臭効果の検証」
病棟ではオムツや排泄物の臭いが気になりますが、その臭いをコーヒーを淹れて残った豆を使って消臭できるかという研究です。
臭いのセンサーを導入して科学的に測定し、コーヒー豆440gを使用すると消臭効果が十分で、しかもコーヒーの臭いも気にならず理想的であると結論付けています。臭いという定量の難しい現象を科学的根拠を持って論じたことと、すぐに実行できること、さらに廃物利用で地球に優しいことが高得点の理由です。
教育研修推進委員会賞:2階東病棟 浮田穣、寺地生孝
「透明文字板を拒否したALS患者へのAAC導入の試み」
神経難病リハビリセンターでは手足を動かしたり、話すことができない患者さんが多く入院されています。その場合、目の動きでコミュニケーションを取るのですが、患者さんと医療者が透明な文字盤を間において患者さんの目の動きで文字を読み取る方法があります。本題の患者さんはその透明板の使用に納得しなかったようで、その患者さんが使いやすように工夫した別の文字板を作って対応したという発表です。
患者さんは一人ひとり要望が違います。それを丁寧に対応し、患者さんに寄り添った形で介護をしたことが評価されました。
他に特別賞として以下の4題が選ばれました:
- 3階西病棟 関亮輔、平塚良成
「当院における介護職員の意識調査」 - 2階西病棟 上村大輔、菊池愛
「回想を用いたコミュニケーションによる患者の変化~意欲を引き出すための関わり~」 - 栄養科 佐々木理恵、前田直美、關装薄セ美、清水紗弥香、切石友恵、清水幸子
「新食事形態基準作成の取り組みについて~根拠のある食事提供の為に~」 - 薬剤科 高橋麻衣、内海誠司、新枦義之、樋島学、藤本康嗣
「持参薬の適正使用~薬剤師主体の持参薬管理によりもたらされるもの~」
受賞を逃した発表も素晴らしい発表ばかりでした。凄いなと思ったのは発想・着眼点がユニークな点です。現場で患者さんと接していないと思いつかない発想ばかりです。特に患者さん一人ひとりの違いを理解して、「オーダーメード」や、「希望を叶えてあげよう」とする医療・看護・リハビリ・介護を工夫していました。
これこそ私たちの目指している「患者さんのQOL」を中心とするチーム医療の具体化であり、スーパー鶴巻温泉病院の実現だと思いました。
3階西病棟からの発表の締めくくりは"患者さんの「笑顔」や「ありがとう」がわたしたちの力になる。"でした。本当に素敵な発表会でした。
季節を感じる
当院に入院されている患者さんは回復期でも最低3ヶ月、療養病床では数年に亘って入院される患者さんも少なくありません。そのような方々に少しでも季節を感じていただこうとSSD(サービスシステム開発室)が努力しています。
5月の子供の日には、南館6階パティオに兜が飾ってありました。3月にはお雛様を飾ります。中庭では12月にゆず湯、5月に菖蒲湯、冬にはイルミネーションを行っています。
実はこの兜も、ひな祭りのお雛様も患者さんからのご寄付です。ありがとうございます。
2011年5月10日 鶴巻温泉病院 院長 鈴木龍太
湘南メディカルセンター 湘南リハビリテーションセンター