blog_8 ~働いていることが自慢できる病院~
4月になりました。新年度の始まりで鶴巻温泉病院には69名の新社会人が入職されました。入職式で希望に燃えた瞳が頼もしかったです。
オリエンテーションでは以下のような宿題をだしました。 平成22年度鶴巻温泉病院の方針は「スーパー鶴巻温泉病院を実現しましょう」です。方針の二番目に「働いていることが自慢できる病院」という項目があります。皆さん一人ひとりが「鶴巻温泉病院で自慢できること」を言えるようにしておいて下さい。 というものです。これは新人ばかりでなく、全ての職員の人に対するお願いです。
「鶴巻温泉病院で自慢できること」で私が思いつくものがあります。
2月に鶴巻温泉病院 学術研究発表会がありました。ここで
院長賞以下6件の研究が賞をとりました。どれも当院の自慢になるような研究です。そのうち「オキシドールを用いた口腔ケアの導入 ~客観的指標を用いた口腔内清潔度の変化~」(3階南病棟 山本眞規子、松本吉成)について少しお話します。
オキシドールで口腔ケアを行うと舌苔が取れ、口臭が改善するという発表です。その成果を写真で示します。
先日、病棟を廻っていたところ、患者さんの奥様が私に「ここは口の中をきれいにしてくれるので本当にうれしいです。前の施設では口臭がひどかったのに鶴巻に移ってから全く口臭が無くなりました。」と言われました。
その時この研究が如何に重要なものなのかを理解したのです。職員の地道な努力が患者さんのQOLを確実に向上させていたのです。
当院の口腔ケアの取り組みは1997年に看護部に発足した口腔プロジェクトに遡ります。
その後1998年には訪問歯科診療が開始され、歯科医に「患者さんの歯茎がしっかりしているので、歯の治療がやりやすい」とほめられたそうです。
2000年から現在、統括診療部長である今西医師がX線で飲み込み機能を評価するビデオ嚥下造影検査(VF)を開始し、
2002年から耳鼻科医による内視鏡での飲み込みの機能評価検査も行うようになりました。
2003年には、口腔ケアと嚥下機能評価の活動が一緒になって、摂食・嚥下・口腔ケアプロジェクトとなりました。ここでは医師、看護師、言語聴覚士(ST)、介護福祉士、歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士が一緒で、文字通りチーム医療を具現化した活動でした。
当時「口腔の保清に欠かせない知識と基礎技術」(橋本春奈、ナーシングカレッジ2003.5:56-62、2003)という論文も発表しています。その後、プロジェクトは栄養委員会に引き継がれ現在に至っています。
これらの継続した努力が今回の発表に繋がったもので、まさに「ローマは一日にして成らず」です。
口腔ケアをしっかり実施すると、口臭がなくなり、虫歯を予防し、食欲を増進させます。それだけでなく嚥下性肺炎が少なくなり、全身感染症の予防にもなり、患者さんの予後を改善します。
そのために当院の職員は日々たゆまぬ努力を続けています。これこそスーパー鶴巻温泉病院として自慢できることの一つだと思います。
鶴巻温泉病院 院長 鈴木龍太
湘南メディカルセンター 湘南リハビリテーションセンター
第21回 鶴巻温泉病院 学術研究発表会 平成2010年2月28日(日)
VF検査による食形態の検討 ~トロミ・ゼリー・ミキサーの比較~
リハビリテーション部 入岡ふみ子 共同研究者 川村千亜妃 關装薄セ美 原田湖子 米沢昌宏 曾根理
ジェネリック医薬品と病院経営~ジェネリック医薬品採用がもたらす病院経営への寄与と問題点についての検討~
薬剤科 井上明子 共同研究者 新枦義之 樋島学 藤本康嗣
療養病床における褥瘡対策の変遷と褥瘡患者の推移 ~褥瘡は治せる~
褥瘡委員会 市川多佳子
オキシドールを用いた口腔ケアの導入 ~客観的指標を用いた口腔内清潔度の変化~
3階南病棟 山本眞規子 共同研究者 松本吉成
高齢者のドライスキン改善への取り組み ~保湿効果を上げ継続所用を目指して~
3階西病棟 原真奈美 共同研究者 小松喜美 平塚良成
当院における回復期リハ病棟SW業務についての考察~回復期リハ病棟SW10か条実践調査~
地域連携サービス室 中山陽子 共同研究者 倉橋慎太郎 松本肇