脳動静脈奇形(AVM)
病院長 鈴木 龍太
どんな病気

どんな症状
AVMは存在だけでは殆ど無症状ですから、何かのきっかけがないと分かりません。AVMと診断された例のうち脳出血が最も多く50-60%、けいれん発作が30-40%です。出血すると重篤な症状となります。突然の頭痛、嘔吐があり、片麻痺などの局所脳症状が進んできます。出血した例の10%前後が死亡してしまいます。けいれんは手や足がピクピク震えるようになり、それが次第に広がって来るタイプが最も多いですが、突然倒れて身体が硬直したり、全身がガクガクする大発作の場合もあります。頻度は一定しません。年に2-3回の人が多いと思います。てんかん発作として治療されている人は必ず一度は脳の検査をする必要があります。他に頭部の雑音を訴える人がいます。比較的大きなAVMや硬膜AVMといい脳を覆っている膜にできたAVMで、心臓の拍動に一致したザッザッという音がします。
特殊なAVMとしてガレン大静脈瘤があります。これは新生児や幼児に発症します。脳に大量の血流が必要なため心臓に負荷がかかり、心不全が起こります。頭部の雑音や水頭症による頭囲拡大で診断されます。治療は難しいですが可能です。治療されないと2ヶ月以上生存することは難しい病気です。
どんな診断・検査
出血の場合はCTスキャンで分かりますが、AVM自体は造影剤を使ったCTをやらないと見えません。ですから出血の場合でもけんれんの場合でも必ず一度は造影CTを行います。脳神経外科医などの専門家が診察していない場合脳出血やてんかんと診断され、AVMとの診断がずっと遅れてしまうことがあります。MRIは造影剤を使わなくてもAVMを診断することができます。AVMの存在は造影CTやMRIで分かりますが、どの動脈から入って、どの静脈にでるのかが治療には重要で、これを知るために脳血管撮影を行います。
どんな治療法
出血したAVMは再出血する可能性がありますので、完全にAVMを摘出することが理想的な治療となります。出血した時、出血が大きければ開頭して血腫を取り除きます。その際血管撮影でAVMがあることが分かっていれば、摘出しますが、大きな物や複雑なものは無理に取らずに落ち着いてから治療を行います。けいれんで発症したAVMも若い人では将来出血する確率が高いので、出血の予防の意味で開頭して全摘出することが一番です。しかしAVMのうち5cm以上の大きな物や、血管構築が複雑なもの、脳の中で重要な機能を持っている場所にあるAVMは直接手術ができません。

AVMの手術や血管内手術は複雑で技術を要します。そのため治療による合併症も頻度が高く、十分検討した上で最良の治療方針を決定します。多くの場合、血管内手術のあと開頭手術やガンマナイフを行うというように段階的に治療します。年齢も考慮にいれ総合的に判断して最終的に治療しないという選択もありえます。
けいれんが症状であるAVMは治療をしてもけいれんが完全になくなることはありません。若い人や初発のけいれんからの期間が短いほど、手術でけいれんのコントロールができますが、抗けいれん剤は通常やめないで続けます。