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スタッフコラム

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パーキンソン病の睡眠障害と治療|第3診療部長 中島 雅士

2018年4月

 パーキンソン病では運動障害に加えて、さまざまな睡眠障害が病初期から進行期までにしばしば認められます。不眠、レム睡眠行動異常症、夜間頻尿、下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群)、周期的四肢運動症、睡眠時無呼吸、などさまざまな種類の睡眠時異常が単独に、または組み合わさって起こることで睡眠が障害されます。


 それぞれの睡眠障害については後に簡潔に述べますが、パーキンソン病において最も多く報告されている障害は断続的睡眠、すなわち、まとまった深い睡眠が得られず、睡眠がしばしば中断されるという現象で、パーキンソン病患者の40%にみられたと報告されています。この断続的睡眠はパーキンソン病の初期からみられ、病期が進むにつれて頻度が増します。その原因にはまたさまざまな要因がありますが、特に運動症状(動きにくさ)の夜間または早朝における増悪、パーキンソン病に固有の痛み、むずむず足症候群、睡眠時無呼吸、抑うつ状態、夜間頻尿などが重要な原因であると考えられています。


 これらの要因はパーキンソン病脳の神経変性と関連するものですが、パーキンソン病治療薬の副作用として現れている場合もあると考えられます。パーキンソン病の代表的治療薬であり、かつ運動症状に対して最も確実な効果を示すL-ドーパ(商品名メネシット、マドパー、など)の投与量が増えるほど断続的睡眠が起こりやすくなるという報告があり、これは脳内ドパミン濃度の変動が影響していると考えられます。そこで、脳内ドパミン作動薬の、特に夜間における濃度を安定させて断続的睡眠を治療する試みが行われています。ロチゴチン(商品名 ニュープロ)は皮膚に貼る貼付剤で、ドパミン作動薬が徐々に血液中に吸収され、24時間にわたって脳内で一定の濃度を保つように工夫されています。


 2010年代に入ってから、欧米ではこのロチゴチンが冒頭に述べたさまざまな睡眠障害を持つ患者に試され、その結果として断続的睡眠の改善が得られたと報告されてきました。当院でも、ロチゴチンを就寝前に貼付することによって、複数の患者で、夜間または早朝の動きにくさまたは脚の痛み、レム睡眠行動異常症、夜間頻尿、むずむず足症候群などによる断続的睡眠の改善が得られています。パーキンソン病の主要な症状である体の硬さ、動きにくさ、ふるえなどの運動症状以外の症状は非運動症状と総称されます。その中にはここに紹介した睡眠障害以外にも、痛み、ドパミンに対する精神的依存などがあり、その中にはL-ドーパまたはドパミン作動薬の過剰に関連したものもあります。パーキンソン病の治療では、医師と相談しながら適量のくすりを定期的に内服するとともに、過量の内服を避けることも大切です。


用語解説


■レム睡眠行動異常症:睡眠周期の一つで夢を見る周期であるレム睡眠期に、大声で寝言を叫ぶ、壁を叩く、殴る・蹴る、歩き回るなどの行動異常を伴うもの。


■下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群):じっとした姿勢や横になった時、主として下肢(脚)にさまざまな不快感が生じて動き回らずにはいられなくなる状態。


■周期的四肢運動症:入眠期に手足が周期的にビクビクっと動く状態。むずむず脚症候群とは異なって、この運動は睡眠中だけに起こり、手足の不快感によるものではない。多くの場合に患者はこの運動を自覚していないが昼間の眠気を訴える。


<地域連携室について>

2018年3月

私たちは、「気軽に頼れる地域連携室」を理念に、患者さま・ご家族さまの相談を伺っています。当院には14名在籍しており、社会福祉士の資格を取得しています。そのうち2名が障がい者・難病リハビリ病棟を担当しております。

医療ソーシャルワーカーは、病院の中で、患者さま・ご家族さまを生活の視点から支援させて頂きます。
ご相談をお受けする場面として、次の3つがあります。

1、電話相談

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入院に向けて、病棟説明を始め、入院前の審査のためにご用意して頂く書類等についてもお伝えしています。当院でのお受入れが難しい場合には、現状のご生活の中で利用可能な社会資源や相談窓口をできる限りご提案します。

2、入院前面談

当院では、ご入院の審査が通ると、入院前に面談を行っています。来院して頂き、相談員より入院中のご希望等についてお伺いします。お電話ではなく、直接お話しする中で、当院のことをより知っていただきたいと思っております。

また、院内の見学をして頂きます。実際に病院・病棟の特徴や入院生活を見て頂くことで、患者さま・ご家族さまがご納得できる入院生活が送れるように努めております。


3、入院中の個別面談

入院中には、ご病気への不安のみでなく、入院生活や今後の生活への不安を感じる方もいらっしゃいます。入院生活にて不安や要望を伺い、患者さま・ご家族さまが望む生活が送れるように、考えていきます。また、今の悩みを誰に相談すれば良いのか悩まれることもあります。その際には、悩みを一緒に整理し、解決をしていきます。さまざまなお気持ちを共有することで少しでもお気持ちが軽くなれば良いと考えております。


地域連携室は、南館1階にありますので、お気軽にお立ち寄りください。ご入院をお考えの方は、お電話をお待ちしております。


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2018年3月 鶴巻温泉病院 地域連携室 医療ソーシャルワーカー 鈴木


コミュニケーション支援「ハイテクノロジー」

2018年3月

当病棟では難病の患者様に対して積極的にコミュニケーション支援を実施しています。

コミュニケーション支援には、大きく分けて

  • ①ジェスチャーや口文字など道具を使用しない「非エイドコミュニケーション」
  • ②文房具や文字盤などを使用する「ローテクノロジー」
  • ③高度な機器やセンサー類などを活用しコミュニケーション機器を使用する「ハイテクノロジー」

があります。

最近、ハイテクノロジーの中で注目されているのは、視線で文字が入力できるコミュニケーション機器です。当院でも視線で文字が入力できる「miyasuku EyeConSW」や「My Tobii」「OriHime」などのコミュニケーション機器の導入を支援しています。

ハイテクノロジーは日進月歩であるため、患者様の様々なニーズに対応できるよう、これからも情報収集に努め患者様のニーズに応えていきたいと思います。


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「miyasuku EyeConSW」を操作している様子



2階東病棟のレクリエーションをご紹介します。

2018年2月

2階東病棟のレクリエーションをご紹介します。

 病棟の看護師、介護福祉士が企画したレクリエーションを年に6回行っています。オカリナコンサートや夏祭り等を実施し、12月はクリスマス会でした。職員がサンタクロースになり、プレゼントを配りました。喜ばれている患者様を見ると私達もうれしくなります。

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ツリーと一緒に写真を撮っている所です

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カメラ目線を狙って、声をかけている所です

また、季節ごとの飾りつけを行っています。11月はハロウィンでしたが、12月はクリスマス一色です。

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 次回は、節分を企画しています。職員が鬼に扮して、豆まきを行います。どんな豆まきになるか楽しみです。邪気を払い、福を呼び込みましょう。

2階東病棟 科長 加藤 久美子


薬剤科|抗インフルエンザウイルス薬のご紹介

2018年1月

寒い季節となってきました。みなさん体調は崩されていませんか?

この時気になると心配になってくるのがインフルエンザウイルスではないでしょうか。さらに今年はインフルエンザワクチンの出荷が滞っており予防接種が遅れています。今年はうがい・手洗いをしっかり行い予防することが特に大事な年になります。しかし、予防していても体調によってはインフルエンザに罹患してしまうこともあります。

そのようなときには、以下のような抗インフルエンザウイルス薬があります。

■タミフル
カプセルとドライシロップの2種類の製剤があり、治療する場合と予防する場合で用量や内服期間が異なります。また、腎臓の働きが悪い方はお薬をうまく排泄することができないため用量を少なくして服用する必要があります。


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■リレンザ
吸入して使用するお薬になります。ブリスターというお薬が入ったディスクをセットして専用の吸入器で吸入します。治療する場合と予防する場合で回数や吸入期間が異なります。ただし、上手にお薬を吸入できない方は効果が期待できない可能性があるのでご使用できないことがあります。


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■イナビル
吸入して使用するお薬になります。治療、場合によっては予防も一度の吸入で済むので簡便です。リレンザ同様、上手にお薬を吸入できない方は効果が期待できない可能性があるのでご使用できないことがあります。


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■ラピアクタ
点滴で使うお薬です。他のお薬は予防に用いることが出来ますが、ラピアクタは治療にのみ使用するお薬となります。重篤なインフルエンザウイルス感染症の場合に使用します。


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抗インフルエンザウイルス薬は治療、予防に用いるどちらの場合にもインフルエンザが疑われる症状がみられた2日以内に投与を開始することが望ましいとされています。お薬を使用して体が楽になってもインフルエンザウイルスは体の中に潜伏しています。医師や薬剤師の説明通りの使い方で最後まで治療を行い、無理せずしっかりとご自宅で療養して頂くことが望まれます。また、小児や高齢者の方が内服すると異常行動のリスクが高いと厚生労働省から報告がありますので、ご使用時はなるべくお一人にならないようご注意ください。

インフルエンザが疑われる症状がみられたら早めに病院を受診しましょう。


薬剤科コラム バックナンバー

お薬手帳について


パーキンソン病の栄養管理 ~管理栄養士という立場から、患者様の生活をサポートする~

2017年12月

こんにちは。障がい者・難病リハビリ病棟を担当しております、管理栄養士の石田彩乃です。

今回は、パーキンソン病の栄養管理をテーマにお話ししたいと思います。

パーキンソン病は病気の進行とともに現れる「手の震え(不随意運動)や筋肉のこわばり(固縮)」などの特徴的な症状から、通常より多くのエネルギーを消費します。そのため、患者様の中には「運動量は減ったのに痩せてしまった。」「食べる量は変わっていないのに痩せてしまった。」という方が多くいらっしゃいます。

そこで、当病棟では他院で考案された「パーキンソン係数(*)」を参考にしてエネルギー設定を行っています。症状の程度に応じて独自の係数を乗じることにより、エネルギーを補う栄養管理の方法です。

入院期間中は、入院時に設定した必要栄養量が今の症状にあっているか、毎月、神経内科の医師と管理栄養士の2名でパーキンソン病の患者様のもとへ伺い、症状の聞き取り、触診をもとに見直しを行っています。また、体重の変化や食事がどのくらい食べられているかを定期的にみることで、エネルギー消費量とエネルギー摂取量の出納を確認しています。

<神経内科の医師と管理栄養士のラウンドの様子
腕のこわばりの程度を確認している>
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ひとりひとり症状は異なるため、症状の程度をはっきり区別することは難しいです。同じ症状が出ているにもかかわらず、実際に必要な栄養量は異なることが殆どです。

また、パーキンソン病は徐々に進行していく病気です。時間が経てば、必要となるエネルギーの量も変化していきます。同時に、思うように体が動かなくなってしまったり、食べたいように食事が摂れなくなることもあります。疾患が進行していく中で、患者様が望んでいる生活を続られるよう、管理栄養士という立場からこれからもサポートを続けていきたいと思います。




患者様とお祭りに向けて作品作り

2017年11月

障がい者難病リハビリ病棟では、レクリエーションスタッフやボランティアスタッフが、患者様が楽しめるような様々な作業活動を提供しています。作品作りを通して、他者と関わる時間が増えたり、季節感を感じることが出来たり、自分の作った作品を誰かにプレゼントすることで達成感に繋がります。

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今回、コスモス祭という病院のお祭りで患者様の作品を展示・販売したためその内容を報告します。コスモス祭は、当院で年一回開かれるお祭りです。ボランティアによる演目やスタッフによる屋台、患者様が作った作品の販売・展示などを行います。今回、障がい者難病リハビリ病棟では、患者様の作品販売として「タッセル」を作りました。

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「タッセル」とは一般的には房飾りのことを言います。イヤリングやバッグに付けて飾ることができるアクセサリーの一つです。当院では上の写真のようなTシャツヤーン(※Tシャツの布切れや縫い物などで使用する糸を巻いたもの)でタッセルを作りました。2週間をかけて約80個のタッセルを作り、コスモス祭で販売しました。タッセルは当日大人気で今回準備した80個すべて完売しました。タッセルを作った患者様や販売した患者様、みなさん大変喜ばれていました。

今後も変化の少ない入院生活に彩が添えられるよう、様々な作業活動を提供していきたいと思います。

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※写真の掲載につきましては、ご家族・ご本人さまより同意を頂きました

日本難病看護学会について  看護科長 相川 依子

2017年10月

難病に関する団体はいろいろありますが、今回は、日本難病看護学会について紹介させていただきます。

日本難病看護学会認定「難病看護師」

1970年代から医療費助成と研究推進を中心に難病対策を実施してきましたが、難病患者の医療や療養生活の改善のために1979年に「難病看護研究会」として発足しました。それから在宅療養生活におけるヘルパーの吸引問題や入院時のコミュニケーションなど多くの問題に取り組み、厚生労働省へ働きかけ、多くの改革をしてきました。そこには医療職だけでなく患者自身や家族も活動してきました。

1995年に日本難病看護学会として任意団体となり、昨年一般社団法人へ変更しました。その間専門的知識と技術を持った看護師の育成が必要であると検討をしてきました。

日本難病看護学会認定の「難病看護師」は2013年に社会的な要請を受けて創設しました。現在261名の難病看護師が活動しています。

難病看護師は、「所定の課程を修了した者で、難病看護の専門的知識を有して難病患者への直接的ケアと、患者家族に長期的に安全な療養環境を提供でき、保健医療福祉の支援ネットワークの核となって、患者家族への医療サービス提供に包括性と連続性を持たせることができる看護師」と位置付けられています。

鶴巻温泉病院にも難病看護師を増やして、難病患者さんや家族に対して療養生活の充実を図っていきたいと思います。

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第22回日本難病看護学会学術集会

日本難病看護学会では、1年に一回学術集会が開催されています。

去る2017年8月25、26日の2日間、第22回日本難病看護学会学術集会が開催されました。今年度のテーマは「難病看護師の新たな展開~居心地の良い暮らしのために~」でした。難病と診断されて入院又は在宅で療養生活している患者さんたちが、「病人から生活者になる」ための社会との共生について語られていました。

日本難病看護学会は、医療従事者だけでなく療養患者や家族・遺族なども参加しています。発表の途中でも人工呼吸器のアラーム音や吸引の音、口文字盤を読んでいる声が聞こえてきます。

入院生活について ~療養型の病院とは?~

2017年9月

療養型の病院とはどんなところでしょうか?

0.png入院相談でお問い合わせいただくことも多く、病院での生活や療養環境について、イメージが沸かない方もいらっしゃるのではないか...?と感じています。
そこで、少しでも当院の療養環境を知っていただく機会になればと思い、今回は当院の障がい者・難病リハビリ病棟における入院生活の一場面をご紹介いたします。


正面玄関

 病院の入り口です。入院退院専用の駐車場があり、自家用車や介護タクシーを駐車して乗り降りができるスペースがあります。入院当日は入り口で担当者がお待ちしていますので、安心してご来院ください。

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本館1階ロビーには、当院の公式ゆるキャラ「鶴のまきちゃん」がいます。(出張の場合は不在となります)


病棟

障がい者・難病リハビリ病棟には2つの病棟があり、目的に応じて入院病棟が異なります。



■障害者病棟




■特殊疾患病棟


  • ・療養目的の入院:比較的長期間の入院が必要な患者さんが多くいらっしゃいます。

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ロビー:お食事を召し上がったり、日中車椅子に座って過ごされる方がいらっしゃいます。レクリエーション活動を行う時間帯もあります。


リハビリテーション室

 病棟で行うリハビリテーションが中心ですが、リハビリテーション室で行うこともあります。PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)が在籍しており、お身体の状態を維持していけるよう必要に応じてかかわっています。


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レクリエーション室

 当院では、レクリエーション活動も患者さんのリハビリテーションの一環と位置づけ、積極的に実施しています。カラオケ、手芸、園芸、体操、習字、囲碁、麻雀など様々なプログラムがあり、患者さんに合ったものを選んで参加していただきます。

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足湯

 源泉を使用した温泉です。入院中の患者さんとご家族がご利用いただける施設です。車椅子を使用している患者さんもご利用いただけるよう工夫しています。また院内でペットをお連れして面会できる唯一の空間です。
日々の入院生活の中で患者さん・ご家族が一息つける憩いの場として、季節問わず人気の場所となっています。
(※温泉療法は行っておりませんので、ご了承ください。)


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面会スペース(南館6階サンルーム・本館ロビー)

 面会は毎日11時~20時、365日可能です。ご家族やお知り合いの方がいらした際などにはぜひご利用いただき、ゆっくりと楽しいひと時をお過ごしください。
(患者さんが入院病棟以外の場所へ行かれる際は、医師の許可が必要となります。ご希望がありましたら病棟へご相談ください。)


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 14.png当院では療養型病院として、生活を意識した環境や対応を大切にしています。ご家族や面会される方との交流や団欒、患者さん・ご家族がともに安らげる環境をつくっていけるよう日々努めています。

入院中の生活についてご希望やご不安がありましたら、ソーシャルワーカーや各スタッフへお声かけ下さい。また入院前の見学も承っておりますので、お気軽にご相談ください。


神経難病の治療と病棟の役割|第3診療部長 中島 雅士

2017年8月

 今回のスタッフ・コラムでは、神経難病の治療と、その治療におけるわれわれの障害者・難病リハビリ病棟の役割について説明します。神経難病にはいくつかの種類がありますが、その多くは成人してから発症し、しゃべる、食べる、歩く、排泄する、などの日常生活に必須の機能が徐々に害(そこな)われていきます。

 病気の始まる年齢も疾患によって異なりますが、早くは30歳代から、遅い場合でも60歳代に始まることが多く、日常生活だけではなく、仕事や今後の人生設計についての見直しを迫られます。


初期神経難病の診断と治療

img1.png 神経難病の診断は難しいものではありません。経験を積んだ神経内科医であれば、病気の経過を尋ねること(病歴聴取・問診)と身体所見の診察(神経学的診察)で、たとえ疾患の初期であっても80%以上の確率で診断できます。補助診断として核磁気共鳴画像検査(MRI)、脳代謝・血流検査(PETまたはSPECT)、筋電図、各種自律神経機能検査などがあり、これらの結果を総合して薬物をはじめとする治療方法を選択します。

 しかし、神経難病を患う方々が求めることは、その診断名と治療だけではなく、自分の病気がどのような経過をたどり、その過程で現われてくる障害にどのように対処し、あるいは障害を受け入れてよりよい人生を送っていくことにあると思います。

parkinsons.png 神経難病の中でも頻度の高いパーキンソン病は、手を使う、歩く、しゃべるなどの運動機能が障害されますが、脳内のドパミンという化学物質(神経伝達物質)の働きを増強する薬物、または脳深部電気刺激による運動症状の治療効果が高い疾患です。しかし、これらの治療の開始から10年を経ると、個人差はありますが、脳内のドパミンがつかさどるもう一つの機能であり、ニコチンやコカインへの依存にも関与するドパミン作動性報酬系の影響が強く出て、精神的な抑制が効かなくなることがあります。

 精神的に安定した生活を優先するためには、日常生活の介護依存度が高くなっても薬物の投与量を控えるという治療を選ぶこともできます。


進行期神経難病の療養と治療

 日本の多くの大学病院、総合病院では、神経難病の診断には時間をかけるものの、その後は短時間の外来診察でくすりの種類と量を調整しています。このような診療では、患者とその家族のよりよい生活のために助言し、将来起こりうる重い障害(例えば食べ物が飲み込めない、動くと息苦しい、など)の時期を予測し、それぞれの患者の人生観に重きをおいた医療介入(例えば人工的栄養・水分補給、気管切開、あるいは機械的補助呼吸)の選択または非選択について話し合っていくことはできないでしょう。


img2.png私が1995年から1998年まで勤務していたカナダのブリティッシュ・コロンビア大学/バンクーバー総合病院の筋萎縮性側索硬化症(ALS)クリニックでは、ALSを患う方々の日常診療はかかりつけ医が担当し、3~6ヶ月に一回の外来診察で一人の患者に2時間をかけて、病気の進行状況を問診・診察と筋電図検査で判断します。

 さらに神経難病の登録看護師は、患者の家庭を訪問し、同じ疾患で苦悩する患者またはその家族との出会いを提案することもあります。こうした様々なアプローチを通じて、神経難病を患う方々の自らの意思による延命的医療介入の選択または非選択(どのような延命治療を受けたくないか)を援助していきます。

British Columbia大学 Andrew Eisen教授

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Vancouver総合病院 Clinical Fellow

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