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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

日本をリハビリテーションする

脳卒中(脳梗塞、脳出血)やその治療、リハビリテーションについて分かりやすく説明します。

第6回 脳出血、なぜ「冬の月曜朝」に発症多い?意識障害や言語障害、危篤状態に陥るケースも?

脳出血、なぜ「冬の月曜朝」に発症多い?

冬の月曜の朝に注意!

 日本では脳卒中が1951年から死因の第1位で、国民病といわれていました。脳卒中による死亡率は65年から減少していますが、その大きな理由は高血圧の治療や食塩を減らした食生活の変化により、高血圧性脳出血の発症と死亡率が劇的に低下したことです。


 その結果、81年にはがんが死因の1位になっています。最近では、脳出血脳梗塞(脳血栓)の3分の1にまで減っていますが、日本の脳出血の発症率は諸外国の2~3倍と依然として高く、まだまだ注意が必要です(脳卒中治療ガイドライン2015)。


月曜日に多発

 最近のデータでは、脳出血は冬に一番多く、夏に一番少ないことがわかっています。これは、冬の低温が血圧を上昇させるためと考えられています。脳梗塞が夏に多いのとは逆の現象です。


 興味深いことに、脳出血の発症は月曜日に飛び抜けて多くなります。特に男性にその傾向が高く、週末の休養から明ける仕事初めによるストレスと考えられています。やはり仕事は“ストレスのもと”なのでしょうか。


 一日の中での発症時間は起床時、昼、夕方が多く、夜間睡眠時は多くありません。脳梗塞は起床時がもっとも多いので、両者合わせた「脳卒中」は起床時に起こりやすいといえます。


崩れるように倒れる

 高血圧性脳出血は決まった発症部位があります。被殻出血視床出血小脳出血橋出血皮質下出血です。部位によって、症状や後遺症がまったく違います。


 脳出血は脳梗塞と違い頭痛、嘔吐が先行することが多いので、頭痛、嘔吐があり、崩れるように倒れ、手と足が動かない場合は脳出血である可能性が高くなります。橋出血などは突然倒れて意識障害となることがよくあります。

脳出血の約60%を占めるのが中央部で起きる被殻出血

 それでは、一番多い被殻出血についてお話ししましょう。

被殻(ひかく)出血

被殻(ひかく)出血

 高血圧性脳出血の中で60%以上を占め、一番頻度の高いものです。脳の中のほうにある被殻が出血すると、反対側の手足が麻痺し、感覚にも障害が出ます。


 出血が大きいと、意識障害が進んできます。右利きの人は言葉を理解してしゃべる機能が左の脳にあるので、左の脳出血が起こると、利き手の右手の麻痺だけでなく言語障害(失語)が起こり、しゃべれなくなることがあります。


薬(グリセオール)の点滴

 脳出血は発症1~6時間で出血が止まります。そのため6時間以上たっても意識障害がない例では、手術はせずにそのまま様子を見ることができます。血圧を下げる薬を使い、脳の腫れ(脳浮腫)を軽くする薬(グリセオール)を点滴します。


 被殻出血では、血腫の量が少ない場合は保存的に様子を見ます。31ml以上で意識が半昏睡状態(刺激で目は開けないが、身体を動かす)のものは、急性期の手術の適応があります。


 手術は、頭蓋骨を開ける開頭手術と、小さな穴から血腫を吸引する定位的脳内血腫除去術がありますが、2015年のガイドラインでは、意識障害がある場合は定位脳手術的血腫吸引術がよいとされています。しかし、手術適応と手術法は患者さんの年齢や合併症、家族や本人の意思などを考慮して、その場の状況で判断することになります。


 脳出血の治療で悩むのは、高齢者や非常に重症例、危篤状態のケースです。危篤状態の例は手術でしか救命できません。しかし、重症であればあるほど、術後の状態も悪く、命を救えても、遷延性(せんえんせい)意識障害といって、目は開けているが外界とのコミュニケーションが取れない状態や、寝たきりの状態になることがほとんどです。ガイドラインでも、重症例の手術は勧めていません。

回復期リハビリテーション

脳出血 回復期リハビリテーション

 脳出血では、片麻痺等の脳出血特有の症状は、保存的治療でも外科的治療でも残ります。したがって、リハビリテーションがもっとも大切です。


 早めに回復期リハビリテーション病院(病棟)へ移る必要があります。治療した病院が救急病院だったり、大きな病院だったりすると、回復期リハ病院へ移ることをためらったりする方もいると思います。しかし、リハビリの開始が遅くなればなるほど回復が遅れ、自宅へ帰るチャンスを逃します。


 寝たままでいると、筋肉の萎縮や、手足が硬くなってしまう拘縮が起こるので、リハビリは発症早期から必要です。被殻出血の患者さんはリハビリをすることで70%ぐらいの方が自力もしくは杖歩行が可能になります。家では歩き、外へ出るときは車椅子というレベルの人もいます。ただし、手の細かい動きはできません。


家族の見守り

 リハビリは、退院して家庭に帰っても必要になりますから、入院中に家族の方も覚えておくといいでしょう。時間はかかりますが、希望を持って焦らずリハビリに取り組んで下さい。



 脳出血の人は一時うつ状態になって落ち込む人も見られますが、だんだん自分の現実を受け止められるようになります。家族の方も焦らずに見守っていてあげることが大切です。


「日本をリハビリテーションする」について

HEALTHPRESS 連載企画「日本をリハビリテーションする」では、脳卒中(脳梗塞、脳出血)、リハビリテーションについて知っておいていただきたいことを、分かりやすく説明しています。

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当院の鈴木龍太院長も執筆しています。

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