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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

診療部より

脳出血シリーズ (3)「診断・検査」「治療法」「予防法」 

脳出血シリーズ (3)「診断・検査」「治療法」「予防法」 

2010.04.01
                                      

脳出血について3回に分けて詳しくご説明しています。
平成22年5月 脳の病気シリーズ(13疾患)を公開いたしました。病気の話のバナーをクリックしてご覧ください。

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どんな診断・検査

脳出血は突然起こり、頭痛もひどく、症状も強いですから殆どの場合救急車で病院に運ばれてきます。診断は症状から比較的容易ですが、最終的にはCTが有用です。MRIは急性期には専門家が見ないと脳出血か脳梗塞が判定しづらいことがあります。脳出血の重症度は意識レベル、CT上の血腫の広がり、血腫の量で判定します。意識レベルは重症例ではどんなに刺激をしても目を開けない状態となり、昏睡状態となります。  


当然ですが重症になればなるほど結果も悪くなります。家や職場で脳出血で人が倒れたらともかく呼吸の確保が大切です。ネクタイや首の周りをゆるくして、お腹のベルトも緩めます。脳出血では嘔吐することが多いので、嘔吐物が喉に詰まって窒息する場合や、肺の中に入って誤嚥性肺炎をおこします。これを予防するためには身体を横に向けます。そして口の中に詰まっているものを取り除きます。以前は脳卒中の人は動かしてはいけないといわれていましたが、現在はともかくすぐに病院へ運ぶことを考えて下さい。


どんな治療法

脳出血は発症1-6時間で出血が止まります。ですから6時間以上経っても意識障害がなく症状が軽い例では手術はせずにそのまま様子をみます。血圧が高い人が多いですから血圧を下げる薬を使い、脳の腫れ(脳浮腫)を軽くする薬(グリセオール)を点滴します。発症してすぐに病院へ行った場合、症状が軽くてもまだ出血が止まっていない場合がありますから、3-4時間後にもう一度CTを行って大きくなっていないか確認します。


被殻出血では血腫の量が30ml以上で意識が半昏睡状態(刺激で目は開けないが身体を動かす)のものが急性期の手術の適応となります。手術は頭蓋骨を開ける開頭手術と、小さな穴から血腫を吸引する定位脳手術的血腫吸引術とがありますが、大きな血腫で救命の意味も考慮して行う場合は開頭術、6時間以上経っていたり、中程度の血腫の場合は吸引術が結果が良いと考えられます。しかし手術適応と手術法は患者さんの年齢や合併症、家族や本人の意思などを考慮して、その場の状況で判断するということになります。しかし被殻出血の場合は手術しても麻痺は残ります。意識障害の改善や早期回復を目的とした手術ですので誤解しないようにして下さい。


視床出血に対しては開頭手術はしません。脳室の中に出血が多かったり、水頭症を来した場合に髄液を外へ出す手術をします。血腫が大きければ血腫吸引術を行うことがあります。小脳出血は進行が急で、水頭症を起こすこともあり、手術で症状をかなり改善できますからある程度の大きさの出血であればすぐに手術をします。


脳葉出血は前述のように若い人ではAVMの可能性もありますから、血管撮影を行い、出血の原因となる病気があるかどうか確認します。出血が大きい場合はすぐに開頭手術を行いますが、この場合は片麻痺などの症状を改善することができます。
AVMが見つかった場合は小さな物では急性期に血腫を取る時に全摘できますが、大きな物や複雑なものは残ります。落ち着いてから残ったAVMに対する治療を行います。AVMに対する治療は脳動静脈奇形(AVM)の項を参考にしてください。


脳出血の治療で悩むのは高齢者や非常に重症例、危篤状態の例です。危篤状態の例は手術でしか救命できません。しかし重症であればあるほど、術後の状態も悪く、必ずしも救命できるわけではありませんし、遷延性意識障害といって目は開けているけど外界とのコミュニケーションが全く取れない状態や、寝たきりの状態になることが殆どです。
御家族は「できるだけのことをして下さい」「先生におまかせします」という表現を良く使われますが、手術後に遷延性意識障害となった場合の長期の闘病生活は御家族にとっても決して楽なものではありません。


また現在の医療制度では一つの病院に3ヶ月以上長期にわたって入院することは難しい状況ですので、転院を繰り返しているのが現状です。このような例では病前の御本人の意思を確認しておくことも必要でしょうし、 「できるだけのこと」が決して患者さんや家族にとって最善の方法ではないことを理解して判断すべきでしょう。外科医は家族が手術を希望した場合、手術をしないという決断はし難いものです。


脳出血では片麻痺等の脳出血特有の症状は保存的治療でも外科的治療でも残ります。ですからリハビリテーションが最も大切です。リハビリテーションは発症早期から必要です。特に、長く寝ていると手や足が固くなってしまう拘縮が起こりますので、足関節、膝、股関節、方、肘、手指の関節を動かします。また手にはタオルを巻いたものを握らせます。ベッドで寝ている時の手や足の位置も大切です。
このようなリハビリは家庭に帰っても必要になりますから入院中に家族の方も覚えておくと良いです。被殻出血の患者さんで意識障害のでなかった方はリハビリテーションをすることで手の細かい動作はなかなかできませんが、70%ぐらいの方が自力もしくは杖歩行が可能になります。家では歩き、外へ出る時は車椅子というレベルの人もいます。時間はかかりますが、希望を持って焦らずリハビリテーションに取り組んで下さい。


脳出血の人は一時うつ状態になって落ち込みますが、段々自分の現実を受け止めるようになります。家族の方も焦らずに見守っていてあげることが大切です。


どんな予防法

秋田県の人口10万人に対する脳卒中発症率は1970年頃が4.5人であったものが、1985年頃は1.9人まで減少しています。この主な要因は脳出血の減少です。この理由は塩分の多い食生活の改善、高血圧管理が行き届いたためと考えられています。


脳出血は生活習慣病の一つです。高血圧、心疾患、糖尿病、喫煙、大量飲酒などが危険因子となります。高脂血血症は動脈硬化の原因となりますが、コレステロールが低すぎると逆に脳出血の危険因子となるといわれています。季節では脳出血は冬に多く夏に少ない傾向があり、温度変化も影響します。寒い季節に急に熱い風呂に入るのはよくありません。生活習慣病は長い間に起こってくるものです。若いうちから健康に留意した生活を心がけることが必要です。統計には出ていませんが、30-40歳台の比較的若い男性の脳出血の人は単身赴任者や独身者が多いようです。お酒や食生活の管理が悪いのではないかと推測しています。


心臓の病気で抗凝固剤(ワーファリン)を飲んでいる人、腎臓が悪く人工透析をしている人、重症の肝臓病、血液の病気で出血傾向のある人にも脳出血が起こりやすくなります。最近風邪薬で脳出血が起こるとテレビで報道されましたが、これは塩酸フェニルプロパノールアミンという成分です。日本では脳出血が多く起こったという報告はありませんが、高血圧の人は風邪薬を飲む時に、成分に注意してください。


スポーツでは年齢的にゴルフ中の脳出血がよく話題になります。ゴルフは中高年男性が無理をして朝早く起きて車を運転して出かけます。脳出血の起こりやすい10-12時にプレイとなりますから脳出血を起こしやすいといわれます。


鶴巻温泉病院 湘南メディカルセンター 湘南リハビリテーションセンター
病院長 鈴木 龍太

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