リハビリテーション | レスパイト入院 | 神経難病緩和ケア
多系統萎縮症 (Multiple System Atrophy; MSA) は脊髄小脳変性症の仲間で、からだがふらつく、コップなどをとろうとしたときに手が大きく揺れる、呂律が回らない、などの「小脳症状」、体が動かしにくくなったり、歩きにくくなったりといった「パーキンソン症状」、それに、例えば立ち上がったときに血圧が下がり、ひどいときには意識を失うこともある起立性低血圧、発汗の異常、排泄の障害などの「自律神経失調症状」を主な症状とする疾患です。
これらの症状が現れる順番によって、全く別の疾患に見えたため、以前は三つに分けて考えられていましたが、神経細胞の中に、共通の物質が認められることが分かり、まとめられるようになりました〔三つとは、小脳症状を主体としたオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA;現在、MSAーCと呼ぶこともあります)、パーキンソン症状を主体とした線条体黒質変性症(SND;同じくMSAーPと呼ぶことも)、自律神経失調症状を主体としたシャイ・ドレーガー症候群(SDS)です〕。また、頭部MRIでも脳の被殻や橋と呼ばれる部分に特有の所見が見られることがあります。 最初の症状が異なっても、進行してゆく過程でしばしば他の症状を合併します。現在のところ、症状をいくぶん軽減する治療法はいくつかありますが、治したり、進行を止めることはできません。 発症から数年以内に口から食事を取ることが困難となり、誤嚥性肺炎から寝たきりとなってしまうことが多く見受けられます。飲み込みが悪くなった場合、栄養確保のため鼻からチューブを入れたり、腹部の皮膚から胃にチューブを通したりして胃に直接流動食を送り込む方法を検討することがあります。また起立性低血圧がひどくなって、ベッドから起きられなくなってしまう場合もあります。血圧を上げる薬もあるのですが、逆に高血圧となってしまったりということがあるため、単純ではありません。排尿障害も大変起こしやすく、内服薬で改善を試みたりしますが、多くは尿道カテーテルが必要になります。中には声帯よりも上のほうで気道が閉塞したり、声帯そのものが気道を閉じるかたちで麻痺したりして呼吸ができなくなるために突然命を落とされる方もいます(ただし、これを防ごうと気管切開という処置を行なってもなおそうしたことが起こり得ますので、単純に閉じることだけが原因ではないと考えられています)。
このように、生命に関わる様々な症状が比較的短期間に生じてきますが、ほとんど寝たきりで、意志表示が以前のように上手にできなくとも、意識が割にしっかりしている方にしばしば出会います。なすすべは確かに極めて限られています。しかし、例えば今の体の動きが少しでも長く保てるならば、あるいは意思表示が少しでも楽に、少しでも長い間できるようになるならば、その人とその周りの人の人生がより有意義なものになるのではないか、少なくとも可能性は追求するべく、状態の評価やリハビリテーションを行なってもよいと思いますし、そのお手伝いができれば、と私たちは考えています。
多系統萎縮症 (Multiple System Atrophy; MSA) は脊髄小脳変性症の仲間で、からだがふらつく、コップなどをとろうとしたときに手が大きく揺れる、呂律が回らない、などの「小脳症状」、体が動かしにくくなったり、歩きにくくなったりといった「パーキンソン症状」、それに、例えば立ち上がったときに血圧が下がり、ひどいときには意識を失うこともある起立性低血圧、発汗の異常、排泄の障害などの「自律神経失調症状」を主な症状とする疾患です。
これらの症状が現れる順番によって、全く別の疾患に見えたため、以前は三つに分けて考えられていましたが、神経細胞の中に、共通の物質が認められることが分かり、まとめられるようになりました〔三つとは、小脳症状を主体としたオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA;現在、MSAーCと呼ぶこともあります)、パーキンソン症状を主体とした線条体黒質変性症(SND;同じくMSAーPと呼ぶことも)、自律神経失調症状を主体としたシャイ・ドレーガー症候群(SDS)です〕。また、頭部MRIでも脳の被殻や橋と呼ばれる部分に特有の所見が見られることがあります。
最初の症状が異なっても、進行してゆく過程でしばしば他の症状を合併します。現在のところ、症状をいくぶん軽減する治療法はいくつかありますが、治したり、進行を止めることはできません。
発症から数年以内に口から食事を取ることが困難となり、誤嚥性肺炎から寝たきりとなってしまうことが多く見受けられます。飲み込みが悪くなった場合、栄養確保のため鼻からチューブを入れたり、腹部の皮膚から胃にチューブを通したりして胃に直接流動食を送り込む方法を検討することがあります。また起立性低血圧がひどくなって、ベッドから起きられなくなってしまう場合もあります。血圧を上げる薬もあるのですが、逆に高血圧となってしまったりということがあるため、単純ではありません。排尿障害も大変起こしやすく、内服薬で改善を試みたりしますが、多くは尿道カテーテルが必要になります。中には声帯よりも上のほうで気道が閉塞したり、声帯そのものが気道を閉じるかたちで麻痺したりして呼吸ができなくなるために突然命を落とされる方もいます(ただし、これを防ごうと気管切開という処置を行なってもなおそうしたことが起こり得ますので、単純に閉じることだけが原因ではないと考えられています)。
このように、生命に関わる様々な症状が比較的短期間に生じてきますが、ほとんど寝たきりで、意志表示が以前のように上手にできなくとも、意識が割にしっかりしている方にしばしば出会います。なすすべは確かに極めて限られています。しかし、例えば今の体の動きが少しでも長く保てるならば、あるいは意思表示が少しでも楽に、少しでも長い間できるようになるならば、その人とその周りの人の人生がより有意義なものになるのではないか、少なくとも可能性は追求するべく、状態の評価やリハビリテーションを行なってもよいと思いますし、そのお手伝いができれば、と私たちは考えています。