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認知症と「記憶」 第3診療部 中島 雅士
認知症の病名を告げられた時、その当人と家族はどのように受け止めるでしょうか。
認知症に関する報道やテレビ・ドラマは、その多くは患者が徐々に社会的に孤立していく悲観的な内容のものです。残念ながら、これは多くの患者と介護者にとっての現実です。現在、認知症の進行を防ぐ有効な治療法がなく、健康な暮らしを続けることができなくなるという通念によって、病的な物忘れの徴候が初めて明らかになった時、患者または介護者は不安にさいなまれるでしょう。
しかし、認知症患者は本当に残された人生を楽しく送ることはできないのでしょうか。「残された人生を楽しく送る」鍵は、代表的な認知症であるアルツハイマー型認知症で、最も早くから障害される「記憶」について理解することにあります。
認知症を患う方の記憶に関して最も重要な特徴は、新しい内容を覚えられない、ことにあります。あなたが認知症患者と接するときに、新しい情報を覚えるような要求をやめることで、患者とのコミュニケーション困難による多くの問題は解決します。
具体的には、
- 質問しない。
- 患者から認知症について学ぶ。
- 患者の話す内容に同意する。決して反論を述べない。
そして、患者との会話では、認知症の記憶に関するもう一つの特徴である過去の記憶は保たれていることに気づかされます。
現在の脳科学では潜在記憶の保持として立証されていますが、あなたが認知症患者と接する中でこれに気がつけば、患者の話す内容や行動が理解できるだけではなく、患者を孤立と偏見から救う手だてがみつかります。
当院認知症サポート・チーム(DST)のキャラクターであるおつるさんの徘徊も、おつるさんの清掃員だったころの行動だと理解することで対処でき、おつるさんも幸せになりました(※)。
認知症患者は過去の経験から現在を意味づけています。介護者がこれを理解することで、認知症を患う方も周囲との接触や人生を楽しむことが可能になります。
- 日本神経学会認定神経内科専門医・指導医
- 米国神経・筋電気診断医学会(ABEM)認定専門医
2023年4月一部更新
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