院長ブログ

blog_10 ~鶴巻温泉病院で自慢できること 2~
2010.06.02

4月の院長通信で職員の皆さんに「鶴巻温泉病院で自慢できること」を考えておいて下さいとお願いしました。そろそろ聞いてみようと思いますので宜しくお願いします。 

前々回は口腔ケアのお話をしましたが、まだまだ自慢できることがあります。今回もそれを紹介します。


鶴巻温泉病院では約半分の入院患者さんが口から食事が取れない状態です。そのような患者さんの多くは鼻から胃に入れた管(経鼻胃管)や、お腹から胃に穴をあけて管を通した胃廔(いろう)から水分や液体の栄養剤を注入しています。

中心静脈栄養といって、点滴で高カロリーの栄養を入れる場合もありますが、胃や腸などの消化器に問題がない場合は経鼻胃管や胃廔から栄養を入れた方が生理的で体に良いといわれています。胃廔は胃に穴を開けますが、経鼻胃管よりも抜けにくく長持ちします。また逆流しにくいため、気管に栄養が入ってしまう誤嚥性肺炎になりにくいことや、見た目、身体的にも患者さんの負担が少ないなどの長所があります。比較的管理が容易で管の交換をする頻度が少ないので、病院だけでなく、在宅でも扱いやすい方法です。

以前は全身麻酔で開腹手術をしなければ胃廔造設ができなかったのですが、今は内視鏡でできるようになり(PEGと言います)随分普及してきました。PEGがあっても口から食事を取るリハビリをすることができます。また口から食事が取れるようになればPEGを抜くこともできます。
 

経管栄養や中心静脈栄養を長い間続けていると、個々の必要量に対して微量元素、ビタミン、必須アミノ酸や必須脂肪酸などの栄養素が不足することがあります。


 

eiyou_01.jpg左の写真では、皮膚はかさかさして鱗のようになっています。これは鱗屑(りんせつ)状皮膚炎といい、必須脂肪酸欠乏症などで見られる症状です。

鶴巻温泉病院の栄養科ではこの鱗屑状皮膚炎に注目し、この症状の患者さんに必須脂肪酸の投与をしてみました。経管栄養に加えて、市販の必須脂肪酸を多く含む植物油を毎食ごとに5ml注入したのです。

 

 

eiyou_02.jpg右の写真は6ヶ月後のものです。鱗屑状皮膚炎がきれいに治っています。  今までに8例行い、5例で鱗屑状皮膚炎を治すことができました。

患者さんやご家族から「こんなにきれいになるなんて嬉しいです」と言われたり、現場スタッフから「乾燥防止の薬を塗る回数が減った、シーツ交換の時に粉のようにはがれ落ちた皮膚が舞いあがることがなくなった」などという声が聞かれます。そんな嬉しい声に支えられると、続ける意欲が湧いてきます。

まだ症例が少ないため、現在も研究中です。このような取り組みは時間も手間もかかります。でもそんな風に頑張るチームは素敵だなと思って応援しています。


鶴巻温泉病院 院長 鈴木龍太
湘南メディカルセンター 湘南リハビリテーションセンター 

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