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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

身体の話シリーズ

運動したり、病気になったりすると身体の色々なところに不具合が生じます。そんな時に知っておいて良かったと思える話を連載していきます。

第12回 膝蓋骨高位症(しつがいこつこういしょう)、変形性膝関節症 -足が長い人の悩み-

 最近若い人で、惚れ惚れするほど足が長い人がいます。うらやましい限りですが、足が長くて困ることってあるんでしょうか?

 あまり思いつきませんが、強いてあげれば既製のズボンの長さやスタイルが合わない、三輪車が漕げない、足が冷える・寒い、低い椅子に座ると机が膝に当たって痛いという程度でしょうか。今日は足が長い人の膝のお皿の骨(膝蓋骨)が話題です。


 お皿の骨と大腿骨の関係を上から見た写真(図1)ではお皿の内側の出っ張りが大腿骨の窪みにうまく入っているのがわかります。殆どの人はこのような形になっていて膝蓋骨が動かないようになっています。


図1↓ クリックで拡大します ↓
お膝のお皿を上から見たところ

 もうひとつの写真(図2)を見てみましょう。ひざを横から撮ったレントゲン写真です。

 左の人の写真では膝蓋骨が膝の関節よりだいぶ上にありますが、右の人の写真では膝蓋骨は膝の関節に近く、下のほうにあるのがわかります。右の人の写真が普通の人の写真です。つまり普通の人はお皿が下のほうについていて、大腿骨の窪みにはまるようにできていますが、左の人ではお皿が上のほうにずれているので、お皿が大腿骨の窪みにはまらずに横にずれやすくなるのです。これを膝蓋骨高位症(しつがいこつこういしょう)といい、足の長い人に多くみられます。


図2↓ クリックで拡大します ↓
お膝のお皿を上から見たところ

 運動の準備体操で膝を屈伸するときに膝がパキパキと鳴る人はいませんか?椅子に座ったときにお皿が飛び出たり、触って動かすと横に動いたりしませんか?足を伸ばして立つとお皿の下にぷよぷよしたに脂肪の固まりみたいなものがありませんか?


 そういう人は膝蓋骨高位症に要注意です。若い運動選手で膝が痛む人はこの膝蓋骨高位症が原因のことがあります。特に膝蓋骨内側の下の部分が痛むことが多いようです。この膝蓋骨高位症がひどくなるとお皿が横にずれて膝蓋骨脱臼になりますし、年をとってくると変形して変形性膝関節症になりやすいですからどうにかしないといけません。ではそういう人はどうしたら良いのでしょうか。


 膝蓋骨高位症はもともと大腿の前の筋肉である大腿四頭筋と裏側のハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称)のバランスが悪く、大腿四頭筋が張りすぎてお皿を引っ張っている状態の人がなりやすいのです。


大腿四頭筋のストレッチ

 まず大腿四頭筋のストレッチが必要です。うつぶせになって片脚の膝を曲げて、曲げた足と反対側の手で足首あたりを持って踵をお尻に近づけます。


 次に大腿二頭筋の筋力アップが必要です。手を肘で曲げて、足は膝で曲げた形の四つんばいになります。この姿勢で片足を上げたまま上に蹴るようにします。


 これでハムストリングスが鍛えられ大腿の前後の筋肉のバランスがよくなるので、あなたの膝の将来を守ります。ハムストリングスを鍛えるとお尻がヒップアップとなり、姿勢も良くなって、かっこよくなるので一石二鳥です。


 一般にはあまり知られていないことや、少し知っておくと役に立つことなども取り上げていますので、参考としていただければ幸いです。気になる症状がある方は、かかりつけ医にご相談いただき、専門の医療機関を受診することをお勧めします。

執筆 鶴巻温泉病院 病院長 鈴木 龍太

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